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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

UVERworld(ウーバーワールド)の成り上がり感がドラマみたいだと思った話

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 私は人の人生に口を出せるほど優れた人間ではない。

 

だが、これから先の長い人生を生きていく上で、生徒たちには苦労も後悔もして欲しくないという信念の元、出来る限り現実的な道を生徒たちに指導しているのだが、自らの狭い価値観によって、無限に広がる生徒たちの可能性を狭めているだけなのかもしれない。

 

私は本当に正しいことをしているのだろうか、そんな葛藤を抱えながら今年も変わることなく桜の花を眺めている自分がいる。

 

「で、佐藤くんは高校には進学せず、UVERworld(ウーバーワールド)というバンドのようになるため、音楽活動に力を入れるってことで本当にいいのかな?」

 

「Oh Yeah」

 

なんとも胃が崩壊するような気分である。その前に名前記入欄の「佐藤∞」ってなんだ。お前の名前は「佐藤 邦彦」だろ。

目次

 

幻想を実現させたバンド「UVERworld」

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それにしても、あの手のつけられないヤンキーの佐藤くんが、無計画ながらプロのバンドマンになりたいなんて考えているとは思いもよらなかった。

 

夏の日には教室が暑いからといって窓ガラスを急に割りだしたり、歩くのが面倒だからといって校内で鬼ハンのママチャリを乗り回したりと、一般的な学生ならば持ちわせている良識が絶望的に欠如している問題児である。職員室にライターを借りに来た時は、教師一同呆然としてしまったよ。

 

そんな彼が憧れる「UVERworld」って一体・・・どんなバンドなのだろうか?とても興味深い・・・。取りあえず彼らについて知るべく、YOUTUBEにアップされている数あるミュージックビデオの中で『ナノ・セカンド』という楽曲を再生してみることにした。

 

映像の冒頭から、左側の髪の毛だけ妙に長いボーカルの男性が何やら観客にむかって発言している。セルフカットに失敗した怒りをわめき散らしているのだろうか?それなら最初から美容院に行けよ、なんて事を考えてしまうのだが、どうやらそれは筆者の早とちりだったようだ。

 

内容としては、過去に音楽関係者から「もっと現実的な目標を持って活動しろ」と指摘されたようなのだが、自らを貫き通し現在の成功を手にすることが出来たというサクセス・ストーリーのようなもの。言うならば「信じた道を貫いて夢を現実にしろ!!」とオーディエンスに伝えているのだが、超オラついている。コレが成功者の威厳というものなのだろうか。なんという自信に満ち溢れた姿。

 

“幻想”と“幻”って意味合い的には同じようなニュアンスの類語なのではないか?と、突っ込みを入れたくなったが、成功を手にした光り輝く彼の前では、まるで“あげ足”を取っているようで何ともバツが悪い。

 

しかしながら、人から指図されることを極端に嫌う佐藤くんなのに、なぜUVERworldのボーカルには従順に憧れを示すのだろうか?

 

普段、私が迂闊に注意しようもんなら、稲妻のようなストレートパンチが飛んで来るのに。世の中は理不尽だ。とはいえ、今回の動画で私は確信した佐藤くん攻略の鍵はボーカルの男性が握っていると・・・。

 

圧倒的な成り上がり感を誇る「TAKUYA∞」

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 ヤンキー佐藤に多大な影響を与えたと思われるUVERworldのボーカルの男性は、どうやら「TAKUYA∞」というらしい。本名は「清水琢也」と案外普通な感じながらローマ字表記にすることによって、カッコよく見えてしまうのが不思議で仕方ない。

 

どうやら進路調査票の氏名の記入欄に書かれていた「佐藤∞」の「∞」も、TAKUYA∞に対するリスペクトを表しているのだろう。末尾の「∞」は「可能性は無限大」を意味しているとのことだが、佐藤くんの場合は将来犯罪をする可能性が無限大なので、何とも末恐ろしい感じである。

 

それにしても、TAKUYA∞というボーカルさんは、アニメや漫画の世界を飛び出した想像上のロッカーのようだ。さらに音楽性と言うか彼のボーカルとしてのスタイルもまた、何とも良いとこ取りな印象。オラついたキャラクターにも関わらず歌声はロマンティックで甘め。ラップやボイパなど、様々なジャンルの美味しい所が集約されているのです。

 

そんな節操の無いスタイルを批判する方も多いようですが、ライトな音楽リスナーでも、ひと目で「カッコイイ!!」と感じられる“わかり易さ”は強みであります。

 

まーなんとなく発言や音楽性、過去のバンド名が「SOUND極ROAD」だったりと、「厨2バンド」風味は否めない。

 

ちなみにコチラの動画で紹介している2005年にリリースされた『CHANCE!』という楽曲は、歌詞などに若干の違いはありますが、すでにインディーズ時代に演奏されており、今曲をライブで観たレコード会社の社長によってUVERworldのデビューが決定したとTAKUYA∞はライブMCでたびたび語っております。まさに『CHANCE!』でチャンスを掴み、現在の成功を収めたのだ。

 

そんなTAKUYA∞も高校に進学することなく、音楽での成功を目指しバンド活動に力を注いでいたようで、そういった“成り上がり”な部分に、きっと佐藤くんも共感や憧れを示したのだろう。

 

しかしながら佐藤くんのような短絡的な人間が、なぜUVERworldのよな複雑な音楽性を理解することが出来たのだろうか?

 

カテゴライズ不能??複雑なのにわかりやすいUVERworldの音楽性

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 それにしてもUVERworldというバンドのサウンドは、複雑というかカテゴライズのしにくいジャンルである。

 

大学時代はロック研究会に所属していた私ではあるが、就職後は仕事に振り回される日々が続き、すっかり音楽から離れてしまっていた。そんな数年の間に国内のバンドサウンドも大きく変貌を遂げていたようだ。

 

バンドとしての精神や立ち振舞は、今や創作の世界でしか存在しないような古典的なロックスター風ながら、そのサウンドはデジタル音源を同期させた近代的なもの。ダイナミクスの強い縦ノリ感を強調したサウンドは、ダンスビートのようでもあるが、決して単調なものではなく、目まぐるしく変貌する複雑な楽曲展開となっている。

 

そんな彼らの音楽ジャンルを国内の定義で当てはめた場合、オルタナやミクスチャーに分類され少しばかりハードルの高い印象を受けるのだが、バンドとしてのサウンドは完全な歌モノ。言わば歌謡曲やJPOPに近く、ボーカルを引き立てるギリギリのラインでノリ感とハードさを演出しているのだ。

 

以上のような、「複雑さ」と「わかりやすさ」が調和しているバンドだからこそ、佐藤くんでもUVERworldの魅力を理解できたのであろう。

 

しかしながらSONYは、こういった近代的なサウンドを織り交ぜたミクスチャーバンドを売るのが非常に上手い。

 

UVERworldの所属する「gr8!records」には、一番売れていた時代の「ORANGE RANGE」が所属していたり、グループ内の別レーベルには謎の狼バンド「MAN WITH A MISSION」が在籍していたりしているのだ。

 

時代背景からすると、ORANGE RANGEの全盛期という事もあるので、第2の彼らを模索した結果がUVERworldなのではないだろうか?いや見事に成功していますね。流石です。ORANGE RANGE、UVERworld共に賛否は多いバンドではありますが・・・。

ドラマティックなバンド「UVERworld」

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月曜になると佐藤くんは大人しい。その日だけは教師も生徒も他中学校と変わらぬ安息の日を過ごすことが出来るのだ。そう、佐藤くんはジャンプが大好きなのだ。いや、最早、佐藤という人間を構築しているのがジャンプであり、ジャンプがあるからこそ佐藤くん存在していると言っても過言ではない。しかしながら残念なことに、ジャンプのコンセプトである「友情」「努力」「勝利」の構成比の振り分けが佐藤くんの場合、「友情49%」「勝利49%」「努力1%」となってしまっている。

 

いや、ヤンキーだって喧嘩とか多少は努力するだろう、なんて事を考えるかもしれないが、現段階では鍛錬という言葉の必要性はなく、ナチュラル・ボーンな状態で殺人的なロシアン・フックを繰り出しているのだ。うん。末恐ろしい。

 

そんな常勝が約束された存在だからこそ、佐藤くんは「友情」を重要視しているのだが、思考回路が既に廃棄寸前のため他者とのコミュニケーションが成立せず、常に一方通行な「友情」となってしまっている。簡単に言えば友達がいないのだ。だからこそ、UVERworldのような生き方に憧れを抱いているのかもしれない。

 

有名な話ではありますが、UVERworldのメンバーは気心の知れた幼馴染で構成されている。多くのバンドが技術やビジュアルを追求すべく、メンバーチェンジを重ねる中、彼らは青年時代に同じ夢を目指したメンバーのまま成功を収めたのである。

 

しかし、全てにおいて彼らの活動が順中満帆だった訳でもない。メジャーデビューの際には、サックスを担当している「誠果」が「UVERworldにはサックスは必要ない」という会社側からの意向により正式メンバーから外される。このあたりに関しては、音楽だけではなくヴィジュアル面も押していきたい会社サイドの考えもあったと思われるが、最後までUVERworldは6人でデビューしたいとメンバーは交渉を続けていたそうだ。

 

そういった事情もあり、サポートメンバーとしてライブに参加していた誠果も含め、常にライブMCでは「俺たち6人」という言葉を強調し続けていた。こういった脱退した初期メンバーを常に含み続ける流れは「SMAP」や「ももクロ」にも見られるのだが、UVERworldはデビュー10年目にして誠果を正式メンバーにすることに成功したのである。この様なドラマチックな展開は、友情を重要視する佐藤くんにとってはトドメのような一撃となっている。こりゃ佐藤くんじゃなくても憧れますよね。