筆者がまだ学生だった頃は現代のようにインターネットは普及しておらず、バンドメンバーの募集はする際は「BANDやろうぜ」などの雑誌やライブハウスなどに設置してある「掲示板」に投稿や掲示をしなければいけなかった。
その後、時代が進むにつれインターネットやスマートフォンなどが普及し、情報伝達の手段が飛躍的に向上した結果、メンバーの募集も過去のようなアナログな手段を使わずとも、ネットの募集サイトを利用すれば簡単に全国へ向けメンバー募集を行うことができるようになった。
しかし、一点だけ大きな問題がある。それは、どれだけ技術が進歩し便利な時代が訪れても、メンバーが不足しているバンドがいまだ多く存在するのだ。
「外部的な要因」について考えれば、過去と比較して格段に便利な時代になっており、募集を希望する投稿の数も非常に多くなっている。
そういった部分を考えると残された問題は「内部的な要因」である。それは、すなわち「メンバー募集の内容」を意味しているのだ。
本日は、筆者が実際にメンバー募集サイトを確認して発見した「酷い募集内容」を何点か紹介しよう。
※引用風にしてありますが、内容は微妙に変更してあります 地域、バンド名などは実際のものとは違います。
目次
あなたの本気が私には伝わってきません系
新宿近郊でアニソンやボカロなどのコピーをやっている斉藤と申します。
本気で音楽の道を考え活動をしていますが、諸事情により3年間一緒に活動をしたドラムが脱退してしまいました。
年齢は20代前半くらいで、本気で音楽の道を考えているドラムを大募集します。
週に2-3回、19時以降から2hくらい練習のできる方。(SPYAIRのドラムが叩ける方なら尚良)
人によって本気のレベルは違えど、あからさまに本気と書いて「とりあえず言ってみました」と読むタイプのバンド。
文面を見る限り、少なくとも3年前にはバンドは結成されており、本気と言っているわりに現在もコピーを継続しているようです。次はSPY AIRをコピーするつもりぽい。
こんな状況で本気のメンバーを募集しても、来るわけないだろ・・・・・
おまえどんだけ恨んでるんだよ系
神奈川を中心に活動しているロックバンド・pulpです!!
在籍していた下手糞ギタリストが連絡不能となったため、新しいギタリストを募集したいと思います。
pulpを理解し頑張れる人、前回の下手糞ギターより弾ける人(笑)、コミュニケーションがしっかりと取れる人、やる気のある人はメールください!待ってます!
前任のギタリストとの問題を、いまだに引きずってしまっているパターン。
募集欄にワザワザ書く内容でもないし、今後自分もそういった扱いをされる可能性も危惧してしまう。
連絡不能となったギタリストも、きっとこのサイトを見るはず!と精神的な攻撃の一環を含めた募集の可能性も大。
もう少し理解できるように説明してよ系
越谷市でインダストリアルにグランジのエッセンスを追加した、デスメタルバンドのメンバーを募集しています。
現在は私(GU)のみでの活動のため、デモ音源の制作を中心に活動をしています。
独創的でサグイエッジの効いたシャープな展開と、ベーリー・フィア・モンテロイザのような重厚で厚みのあるバンドにしていければと思います。
興味のある方は連絡をください。
メンバー募集の情報量よりも、自身の音楽性が前に出てしまったパターン。
とりあえず、もう少し分かりやすく説明してもらえませんか・・・・・と観覧者が感じてしまう呪いのような内容だ。
詳しいのはわかりましたので、もう少しだけこっちにも歩み寄ってくれませんか?と言いたくなってしまう。
『月刊ムー』の投稿ページに「前世で過ごした友人を探しています」と掲載した時と同じくらい、メンバーが集まらない可能性が高い。
メンバー募集?友達募集?系
台東区でバンドをやりたい斉藤です!!
学生時代はベースを弾いていましたが、それはもう昔の話。かれこれ15年位触っていません。お酒のほうが付き合いが長いかな?(笑)
私と同じように趣味でまったりとバンドをやりたい方、是非応募してください!
まずは飲み会から始めましょう!!(笑)
お前、とりあえず飲み会したいだけだろ!!と思ってしまう内容だが、本日紹介した中では一番楽しく過ごせる可能性が高い募集である。筆者位の年齢だったら、これが一番いい募集だと思う。
しかしながら、バンドとして成立しない可能性は一番高い募集でもある。
さらりと欲深い系
ドラマー急募!!三鷹市を中心に活動しているメタルバンドです。
今後は活動エリアをさらに広げ勢力的にライブを行っていく予定でしたが、ドラマーが脱退してしまい活動休止状態となっています。
ツーバスのドラムが叩ける20代から30代の男性で、トリガー、ハイエース(遠征用)を持っている方の応募をお待ちしています。
勢力的に活動すると言っている割には、移動に関しては人任せにしたいメンバーが多い印象を受ける。
テクニック、機材、移動車の「打」「走」「守」の全てを求めるゲスい募集内容では、余程成功しているバンドでなければ募集は集まらないだろう。
ある程度売れて事務所などに所属した時に、ヴィジュアルが劣るメンバーは簡単に首にしてしまうようなバンドの雰囲気がプンプンするので注意しよう。