新海誠監督の新作「君の名は。」が大ヒットしている。
そんなニュースは周知の事実なので、今更筆者ごときが色々言及する必要はないのだが、劇中の音楽を全て担当したことで話題となった「RADWIMPS」が再び世間から注目されている。
今回は過去の新海誠作品にて音楽を担当したアーティストや、実際に映画を観て感じたRADWIMPSの挿入歌などの感想を書かせていただこう。
ちなみに筆者は「君の名は。」を見て泣いた。だがRADWIMPS好きではない。
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観てきたよ!!大ヒット映画「君の名は。」
遅れながら筆者も大ヒット映画「君の名は。」を鑑賞してきた。ネットでは細かな矛盾点を指摘した否定的な感想も多々見受けられたが、「素直な心で観れば普通に楽しめる映画だった」が筆者の極めて薄い感想である。
それでは、これから「君の名は。」を見に行く人や価値観を共有したいファンには一切役に立たない駄文を書かせていただこう。
映画監督新海誠
アニメーション作家であり監督でもある新海誠。ペンネームのようなカッチリとした名前だなと思って調べてみたところ、本名は新津誠(にいつ まこと)とのこと。
そんな新海誠の名を一般層にまで広めた出世作が「秒速5センチメートル」である。幻想的で美しい風景描写と切なくも儚い時の流れの物語に、忘れかけてた幼き日の自分を思い出せるノスタルジーな作品。
今作は皮肉にも支持層であるはずのアニメ好きのユーザー(特に恋愛経験が少ない、恋愛に理想を描いている)に衝撃的なトラウマを与えてしまい、鑑賞後には「死にたい」「鬱」「後遺症が残る」などのコメントが目立った。筆者の鑑賞後の第一声は「吐きそう・・・」である。「秒速は5センチメートル」はジャンルや内容は違えど、その存在は初期の「THE BACK HORN」や「Cock Roach」的なダウナー系に分類される異端の存在である。鑑賞後に「ははは、楽しかったね。じゃあ、なにか食べいく?」なんて軽々と言える人間は、よほど充実した人生を送っている超人だ。
そんなオタク殺しの新海誠が新作を発表となれば、多くの人々が注目するのは当然のことである。しかも「男女の意識が入れ替わる」という古典的なラブコメ発想となっており、「新海誠もやっと俺たちアニ豚の望む作品を作る気になったか!」と喜んでいた矢先、主題歌を含む全ての音楽をRADWIMPSが担当するとの発表に「コォラァ!」と叫びそうになったのは筆者だけではないはずだ。
劇中歌は新海誠が大ファンのRADWIMPSに依頼
独自の恋愛観や価値観を歌詞にし、音楽という形で我々に発信(攻撃)してくれるサブカル界のトップランナーRADWIMPS(ラッドウィンプス)通称ラッド。西野カナ、加藤ミリヤ、清水翔太らと並ぶ、恋愛脳を活性化させる日本のラブソング四天王の一人である。
心に染みるねちっこい歌詞に、多くのサブカル女子が心を打たれ彼らを支持しているようで、大手まとめサイトなどでも下記のように絶賛されている。
突き刺さるような共感できる歌詞
おい!キュレーター本当にそう思っているのか!?そのまま撃ち抜かれてしまえ!なんてことを少し考えてしまったが 、バンドサウンドとしての RADWIMPSはなんだかんだかんだキャッチーでカッコイイ。
今回「君の名は。」の音楽を担当することになった経緯は、単純に監督の深海誠がRADWIMPSのファンだったらしく、そんな希望を気軽に言ってみたら本当に実現してしまったようだ。
RADWIMPSの楽曲には演奏がカントリー風なものも多々あり、インスト作品も問題なくこなせそうなので人選としては間違いではないかな?と筆者は思う。久々に聞いたが相変わらずスイートな歌声。
新海誠作品と音楽
美しい風景描写と儚くも切ないストーリーが見事に絡み合った新海誠作品。大人にこそ観て欲しいしっとりとした作品も多く、それらを更に魅力的に彩る音楽もまた注目されている。いくつか過去作品の主題歌を紹介しよう。
「秒速5センチメートル」
作品の内容については上記で簡単に説明させて頂いた通り「トラウマ」
主題歌は山崎まさよしの「One more time, One more chance」
選曲の理由は「大学時代によく聞いていたから」とのこと。
優しくも力強い歌声が作品とも非常にマッチしている。仮に主題歌が「セロリ」だったら印象が変わってしまうだろ?それくらい選曲って大事なんだね。
「星を追う子供」
「秒速5センチメートル」から4年後に公開された「星を追う子供」は、新海誠が幼い頃に読んだ児童文学書が制作のきっかけとなっている。前作とは打って変わってファンタジー要素満載のアクション多めの作品となっている。
随所に散りばめられた宮崎作品に対するオマージュもあり、日本の伝統的な作風のアニメーションを目標に制作された。
主題歌は新海誠と同郷である長野県のシンガーソングライター熊木杏里が担当している。題名は『Hello Goodbye & Hello』とややこっしい感じであるが、優しく包み込む儚げな歌声は本物。
10代のデビュー当時の作品からは、静寂の中に見える「冷たさ」のようなものが感じられたが、結婚や出産などを経て徐々に作風も変わり、現在では穏やかな暖かみのある作品が多くなった。
筆者のオススメはデビュー曲の「窓絵」である。
「言の葉の庭」
偶然出会った年上の女性に恋心を抱く高校生男子の心情が繊細にしっとりと描かれており、大人にこそ見て欲しい作品に仕上がっていた。キャラデザインも気合が入っており、雪野 百香里は年上らしい色気が感じられた。
物語の設定上「雨」が重要視されており、監督本人も3人目のキャラクターと発言している。そのため主題歌も秦基博 「Rain」となっている。
以上、過去3作品の「しっとりとした」アーティストを紹介させて頂いた。そして今作「君の名は。」に繋がっていくのだ。そう!前!前!前世かぁ~らってね。なんでこうなったんだよ!コォラァ!
劇中しつこく挿入されるRADWIMPSの楽曲
よほどのラッド信者でなければ、今作「君の名は。」でしつこく流れるRADWIMPS楽曲に苛立ちを感じたのではないだろうか?
軽いネタバレになってしまうが久々に見たぞアニメ映画のOP。いいのか本当に?
後半の感動的な場面でも気になって仕方なかった挿入歌。来るぞ来るぞ来るぞキター!!って予想通りのタイミングで甘ったるい歌声が流れてくる。それが結構しつこめ。ホラー映画でよくある、キャーって驚いたら鏡に写った自分だったのでホッとしていると、あれ鏡に何か写ってる・・・・・振り返るとキャーである。そんな感じでぶっ込まれるRADWIMPS。集中できないよ・・・
自身の涙の理由が今だにわからないが、RADWIMPSのせいではないのは確か
なんだかんだ最後までしっかりと楽しめた「君の名は。」だが、最大の謎はあまり感動していなかったはずなのに、最後のあのシーンで何故か一筋の涙が流れた筆者。
普段ならエンドロールは観ないで帰る筆者だったが、溢れる涙を鎮めるため最後まで席に座っていた。今思えば花粉症と同じで、RADWIMPSの甘い歌声の蓄積に筆者の涙腺が耐えられなくなっただけではないかと強がってみる。
悔しいが内容も音楽も良かったよ。