今年、16年ぶりに新作を発表したHi-STANDARD。彼らの復活とともに再開された「エアジャム」も今年で6回目の開催となり、過去最大の注目を浴びている。それらの原因は「フェスブーム」という国内の状況も当然背景にあるのだろうが、その理由を占める大半は豪華過ぎる出演者にあると思われる。
国内でロック・フェスが開催されれば、必ず出演者に名前があがるアーティスト達が参加する同フェスは、まさに国内ロックバンド版「アベンジャーズ」と言って過言ではないだろう。
本日は、今年開催されたのロック・フェスの集大成「エアジャム2016」と出演アーティスト達を紹介しよう。
前回から4年ぶりとなる待望の「エアジャム2016」
Hi-STANDARDの活動再開とともに開催が決定した「エアジャム」。アーティスト主催の同フェスの歴史は、当然ながらハイスタの歴史でもある。
本来であれば「無理して開催はしない」とメンバーがインタビューで答えているように、毎年開催される訳ではないのだが、2011年に関しては「日本を元気づけるため、無理して開催したと」と発言している。そのため今回開催される「エアジャム2016」は熊本地震の救済イベントとしての開催と思われてしまいがちだが、実際は地震前から計画が進んでおり「本当に偶然」とコメントされている。
97年に初開催されたエアジャムでは、先に紹介したような信念めいたものはなく「仲間たちと楽しめる海外フェス」的なノリで運営されており、参加アーティストも同年代のバンドが多い印象を受ける。しかし、2011年に開催されたエアジャムではハイスタに影響を受けた後進のアーティストが多数出演し、エアジャム世代を中心に物議をかもすこととなる・・・
エアジャム世代が求める「エアジャム感」 参加アーティストに異論。
横山健氏も自身のコラムにて書いているように、エアジャムの出演アーティストが発表されるたびWEBやSNSで異論が唱えられることが多い。それらは、過去開催時と比べハイスタと共にシーンを支えたアーティスト達の出演がないからであろう。ハイスタのメンバーも「現時点で最高のラインナップ」とフォローのようなコメントをしているが、確かに筆者から見ても「エアジャム感」は薄れてしまっている。
しかし、筆者はそれでいいと思う。「他フェスと変わらない」なんて意見に関してはごもっともであるが、主催者のHi-STANDARDが「コレがエアジャムだ!」と言えばエアジャムなのだ。彼らのスタンスもポジションも当時とは違う。キャリアに応じて目的が変わるのは当然であり、過去のエアジャム感で開催をしても喜ぶのは「エアジャム世代」だけではないだろうか?シーンを衰退させないためにも新たな風を取り込み、より多くの人に楽しんでもらえるシーンとしての継続をとった形がハイスタ復活以降のエアジャムの目的だと筆者は思っている。
初回開催からの3回は仲間と共にシーンを盛り上げ、復活の2011年ではハイスタに影響を受けた今後のシーンを支える後進バンド達との共演を果たす。翌2012年には新たな時代を築いたアーティスト達が多数出演し、ジャンルの壁を超えた結束を強めている。
ここからは筆者の独断と偏見になってしまうのだが2016年に開催されるエアジャムに関しては、主催者ではなくバンド“Hi-STANDARD”としての限界への挑戦が感じられる。
それらは、今回の出演アーティストを見れば明白ではないだろうか?伝説的なバンドHi-STANDARDのであろうと気を抜けば一瞬で食われてしまうような、新たな時代を牽引する実力派のアーティストが多数出演しており、ファンの年齢層も違うためハイスタの功績など知ったこっちゃない。そんな状況に「時代もかわったね、どうぞどうぞ」と席を譲るハイスタではないことを皆さん当然ご存知だろう。
だからこそ今年は挑戦するのではないだろうか?横山健氏のメディア露出の増加、16年ぶりの新作リリースも、そういった新たな挑戦への布石と考えていいだろう。
出演アーティスト紹介
それでは「エアジャム2016」に出演するアーティスト達を紹介しよう。どのバンドもフェスではヘッドライナー級の「猛者」揃いとなっている!!(時間の都合で一部です)
音楽活動のきっかけはエアジャムのオオカミバンド MAN WITH A MISSION
オオカミの被り物やTokyo Tanakaなどのふざけたメンバー名のため、「色物バンド」と感じがいされてしまいそうだが、バンド・サウンドは結構堅実。様々なジャンルが融合したミクスチャーサウンドと、ポップでキャッチーなサビに中毒者が続出しており、最近行われたライブでは2日間で5万人を動員する人気っぷり。 見た目同様のモンスターバンドである。
注目のオオカミスーツの中身に関しては正式に公表されてはいないが、結構ベテランという説が多い。ヴィジュアル、サウンド共にインパクトが有るため、国内の様々なフェスに出演している。
エアジャム世代を支えたハイスタの盟友 BRAHMAN
ハイスタと共にエアジャム世代の筆頭にあげられるカリスマ的ロック・バンド。民族音楽とハードコアが融合したエモーショナルなサウンドに多くのキッズ達がヤラれてしまった。
そんなブラフマンの名を一躍有名にした作品が「A MAN OF THE WORLD」だ。特に代表曲である「See Off」の気合の入ったサウンドは、バンドキッズだけではなくヤンキーから野球部にまで親しまれている。
ハイスタとの付き合いも長く、共にシーンを支え続けた盟友でもある。ヴォーカルのTOSHI-LOWはハイスタの活動再開を一押しした重要な存在だ。
ハイスタなきメロコアシーンを支え続けた 10-FEET
ハイスタの活動休止と共に衰退していたメロコアシーン。青春パンクが台頭する中、シーンを守り続けるだけではなく、新たな時代を築き上げたバンドが「10-FEET」だ。
当時、筆者が短期間だけ音楽系の仕事をしていた際に、サンプルで聞いた「springman」では、まだまだ現在のような頭角は表れていなかったが、同年に発表した「RIVER」でブレイクを果たす。
2007年よりバンド主催のフェス「京都大作戦」毎年開催し、シーンの発展に死力を尽くしてきた偉大なバンドである。同フェスにて10-FEETがハイスタの名曲「STAY GOLD」を演奏するも、出演者として会場に来ていたハイスタの横山氏と難波氏にステージをジャックされてしまうのだが、ヴォーカルのTAKUMAは感激と感動のあまりステージ上に座り込み涙を流してしまう。
ここまでシーンを牽引するバンドになるとは当時の筆者は思ってもいなかった!!
新時代のカリスマロックバンド ONE OK ROCK
大型のフェス以外では、エアジャム勢との関わりはないと思われていた「one ok rock」。今回出演するアーティストの中で最も注意すべきバンドではないだろうか?
世界を照準にしたクオリティの高い作品は、多くの若者達に支持され、one ok rockを国内ロック・バンドの頂点へと押し上げた。まさに新時代を担うカリスマ的バンドである。この夏に行われた単独野外ライブでは2日間で11万人を動員するなど、勢いが弱まることを知らない状況となっており、おちおちしていると主催者のHi-STANDARDすらも食いかねない勢いなのである。
過去に kenbandで共演した際にワンオクファンを乗せきれなかった経験もあるため、今回のエアジャムではリベンジを狙った抜擢の可能性も高い。