culture time

独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

「Hi-STANDARD」ってバンドは今の若者には受けないんじゃないか?って話

Vintage & New,Gift Shits

昨年に16年振りとなるニューシングルをゲリラリリースしたことが話題となった伝説のバンド「Hi-STANDARD」。

 

同年には彼ら主催のフェスである「AIR JAM」も開催され、2017年10月には18年振りとなるニュー・アルバムのリリースまで控えている。

 

そして10月後半にはレコ発ツアーも開催される予定となっており、もう完全にバンドとして再始動している「Hi-STANDARD」なのだが、筆者のようなAIR JAM世代だけではなく、現在を生きる若者たちにも彼らのサウンドはしっかりと響くのだろうか?少しばかり不安である。

 

目次

 

伝説のバンド「Hi-Standard」

LAST OF SUNNY DAY

 1991年に結成されたHi-STANDARD。平成でいえば3年。当時の音楽シーンは、B'zの8枚めのシングルとなる『LADY NAVIGATION 』がリリースされた年である。

 

ちなみに現在リリースされているB'zのシングルは53枚と、年月の流れを嫌でも感じさせられる状況ではあるが、そんな昭和の香りがまだまだ残る平成初期に伝説のバンド「ハイスタ」は誕生したのだ。

 

彼らのバンド運営は当時のスタイルとしては珍しく、メジャーレベールに所属しないインディーズ(自主制作)という形が取られていた。そのためTVなどのメディアへの露出はほぼなくライブハウスを中心とした活動が主であった。

 

そんな地道な活動にも関わらず彼らの音楽は多くのリスナーに支持され、リリースしたアルバムは全て50万枚以上の“異例”のセールスを達成するのだ。

 

当然、大手レーベルに所属している訳ではないのでプロモーションも無いに等しく、現在のようにSNSやWEBも浸透していなかった時代のため、「Hi-STANDARD」という名前は、ライブを見たり音源を聴いたリスナーの口コミによって広げられた。

 

この時点で十分凄いのだが、彼らは国内での認知度がまだまだ低い段階で海外でも活動をしていたのだ。

 

現在では結構よくあるバンドの「海外進出」なのだが、20年も昔の90年台前半に、日本のマイナーバンドが海外での活動を精力的に行っていたのだ。

 

もう武者修行なんて言葉では済ませない無謀な挑戦の末、見事チャンスを掴んだ「Hi-STANDARD」は、NOFXの「ファット・マイク」が社長を務めるレーベル「Fat Wreck Chords」に所属する。

 

それはもうバンドの海外進出の草分け的な存在と言っていいだろう。

 

と、ハイスタの伝説を上げだしたらキリがないので、気になる方はネットで調べたり過去記事を参照してみてください。

 

Hi-STANDARDの「ANOTHER STARTING LINE」がゲリラリリースにも関わらずヒットした理由 - culture time

 

「AIR JAM世代」が改めて振り返るAIR JAMの歴史とHi-STANDARD - culture time

1999年には3rdアルバム『MAKING THE ROAD』をリリース。国内外で100万枚以上のセールスを達成しミリオンヒットとなる。翌2000年には自らが主催するフェス「AIR JAM2000」を開催、大盛況で幕を下ろすかと思いきや、まさかの活動休止が宣言された・・・。

 

そして「Hi-STANDARD」は伝説のバンドとなったのだ。

2016年より本格的に活動を再開!!歓喜するAIR JAM世代!!でも・・・

Live at AIR JAM 2011 [DVD]

「Hi-STANDARD」というバンドが思い出のバンドになりつつあった2011年。日本に未曾有の災害が訪れ人々から笑顔を奪い去ってしまった。そんな状況を少しでも変えるため「Hi-STANDARD」は11年振りに活動の再開を宣言する。

 

そして開催された「AIR JAM2011」は3万枚のチケットに対し20万以上の応募が殺到する人気っぷり。Hi-STANDARDというバンドの根強い人気を知らしめたのだ。

 

だが、それからの活動と言えば、数年の間でライブを数回こなす程度で、新作のリリースもなく、バンドとして活動しているとは言い難い状況が数年続くこととなる。

 

動きがあったのは2016年だった。ニューシングル『Another Starting Line』がノープロモーションでリリースされたのだ。とんでもないサプライズに多くのリスナーが驚きと歓喜の声を上げた。

 

当然ながら作品は大ヒットし、SNSには溢れかえるほどの賞賛のコメントが書き込まれた。しかし、今作品に対するリスナーのコメントは「16年ぶりの新作」や「ゲリラリリース」などの話題性ばかりが大半となっており、内容云々よりもハイスタの新作をとにかく「ありがたがる」ものばかりだったのだ。

 

それってバンドとしてはどうなのだろうか?再結成をネタにファンから集金しているバンドと何ら変わりのない印象を受けてしまう。

 

果たして「Hi-STANDARD」はこれからもファン層を拡大し、シーンのトップとして君臨し続けられるのだろうか?はたまたAIR JAM世代の青春の思い出のバンドとなってしまうのだろうか?

 

それでは支持層の拡大を狙うため若年層をターゲットとした場合、ハイスタは受け入れられるのかについて考えてみよう。

 

最近のバンドには珍しい「ハイスタ」の英語の発音

www.youtube.com

英語が喋れて当たり前。筆者のような昭和の人間からするとゾッとしてしまう言葉ではあるが、現代の若者達には英語を流暢に話す人も多く、社内公用語が英語なんて会社も中には存在している。

 

そんな時代だからだろうか?

 

結成当初より海外での活動を視野に入れたグローバルな思想のバンドが年々増加傾向にある。

 

当然、活動の舞台は世界なので、そういったバンドの大半が高い語学力を持っており、ナチュラルな発音で英語の歌詞を歌うことができるのだ。

 

実際問題、英語の苦手な筆者には細かな発音の違いなど理解できないが、上記のようなバンドの英語の発音は明らかに『ニュー・ホライズン』の枠を超えている。マイクやベスも口をあんぐり開けてしまうレベルである。

 

 

そして気になる「Hi-STANDARD」の英語の発音のレベルは・・・・。一言でいえば「ベタベタの発音」。筆者のような昭和時代の人間とっては親近感の沸く発音ではあるが、ここ最近の巧みに英語を操るバンドと比べると、なんとなく間の抜けた印象で、スタリッシュさは感じられない。

www.youtube.com

しかしながら、若者の心を掴むのに必ずしも英語の発音が重要な訳ではな。

 

ハイスタに近しいジャンルで若者からの人気も高い「HEY-SMITH」の英語の発音も大分怪しく、その辺を考えると「ハイスタ」くらいの発音ならば、まだまだ若者の許容範囲なのではないだろうか?ニュアンスが伝わればOK!!英語の発音は関係ないということでセーフ!!

 

でも、やっぱり上手な発音のバンドとは比較されてしまうでしょうね・・・。

若者の心を掴む「イケメン」メンバーの不在

https://pbs.twimg.com/media/DJhUNuZUMAUc2vv.jpg

 画像引用URL https://twitter.com/pizza_of_death/status/907574589814857728

 

 純粋に音で勝負出来るのが「バンド」なんて時代は既に終わっていて、現在の音楽業界で売れるためには、顔良し、曲良し、宣伝マシマシのようなラーメン二郎ばりのコールが必須となっている。

 

筆者としては現在のような状況に対して「贅沢ばっか言う音楽ジロリアンが増えたもんだな!!」なんて愚痴を言いたくなってしまうのだが、よくよく考えてみるとアーティストに対する入り口の違いって部分もあるかもしれない。

 

ここ最近の流れとしては、音よりもヴィジュアルが先行している場合が多く、ネットなどでたまたま見かけたバンドのアーティスト写真などをみて「あ!イケメン!グフフフ 曲も聴いてみよ♡」みたいな感じでバンドに興味を持って楽曲を聴くってパターンも多いのでは?

 

昔からあったと言えばあった話ではあるが、現在はアーティスト自ら情報を発信できる時代。スピード感が違う。そして加工技術も違う。色々と申し上げてみましたが、バンドの人気を高めるうえで「容姿」は絶対に押さえておきたい重要なファクターなのです。

 

それでは「Hi-STANDARD」の容姿はいかがなものか?イケメンと言われるバンドと実際に比較しみよう。

https://pbs.twimg.com/media/DKKUTAXUQAAyvw-.jpg

画像引用URLhttps://pbs.twimg.com/media/DKKUTAXUQAAyvw-.jpg

今年も多数のフェスに出演し、多くのオーディエンスを魅了した平成生まれの人気バンド「Suchmos」。ハイクオリティな楽曲だけではなく、そのヴィジュアルにも注目を集めていることは有名な話。俗に言う「イケメンバンド」ってやつです。

 

本来であれば20歳以上も歳の離れたサチモスのメンバーとハイスタのヴィジュアルを比較してしまうこと自体が間違いなのだが、平成生まれよ、何を食べればこんなスマートな骨格になるんだ。是非ともオジサンに教えて欲しい。

 

そうは言ってもハイスタだって20代の頃があったはず!と、『Growing Up(海外版)』の裏面を見てみると若かりし頃のメンバーのお姿が・・・。あ・・・これは・・・ちょっとコミカル過ぎてイケメンとは言い難いかも・・・。まーまー現在のハイスタの皆さんには、平成生まれの若造には無い大人の渋みもありますよね!!健さんに至っては「マギー」との噂もありましたし。

 

まー今を生きる若者からすれば「オジサン」に見えてしまい、ヴィジュアルからバンドのファンを増やすのは難しいかな?

最大の武器は極上のサウンド

www.youtube.com

 ここまでの流れを確認すると、若者の心をガッチリ掴むにはややパンチ不足な印象を受ける「Hi-STANDARD」だが、彼らの最大の魅力は「Hi-STANDARD」というバンドの作り出す「極上のサウンド」にある。

 

当時は音楽ジャンルとしてもマイナーだったパンクロックを、誰にでも親しみやすいポピュラー・ミュージックに変えたのは彼であり、「メロコアムーブメントの火付け役」や「メロコアの始祖」などと呼ばれ、現在活躍している多くのバンドに影響を与えている。「10FEET」などにいたっては、ハイスタがいなければ自分たちのバンドの音は存在しなかったとインタビューに答えている程。とにかく凄まじい影響力を持ったバンドが「Hi-STANDARD」なのだ。

 

それでは2016年にリリースされた 『Another Starting Line』と、ここ最近流行りのメロコアバンドを比較してみよう。比較してみるのは、ハイスタのメンバーが運営しているレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」に在籍してたこともあるバンド「WANIMA」だ。

www.youtube.com

 彼らのファン層は10代から20代の若者達が多く、現在の「メロコア」の主流を知るうえでは絶対に外せない存在である。では、ハイスタのサウンドの魅力と実際に比較してみよう。

 

まず思い浮かぶのが軽快でテンポの良い「疾走感」って部分。こちらに関しては『Another Starting Line』の収録曲全体から比べてみても、「WANIMA」の楽曲の方が軽快じゃないですか?

 

いや、ハイスタも元々疾走感ある名曲が沢山あるのだが、16年ぶりにリリースされた『Another Starting Line』では、そういった軽快さが消えてしまっているんですよね。ハイスタのメンバーも歳を重ねて大人になったなって感じの音で、仕方のないことかもしれないけど、16年って期間を意識させられてしまうよね。なんというか落ち着いてしまったなって印象。

 

続いて、ハイスタの魅力の核と言ってもいいだろう「素敵なメロディライン」って部分。こちらは「WANIMA」と「ハイスタ」で大分違いがあり、両バンドともに優れたメロディラインを持っているため、リスナーの趣味や趣向で判断が難しいかな。

 

個人的な感想としては、「WANIMA」の楽曲は若者の好む特有の「忙しい」印象。「ハイスタ」はシンプルで聴きやすい良メロであるが、こちらも過去のサウンドと比較すると、『Another Starting Line』は全体的に「落ちすぎ過ぎている」かな?

 

なので若者からすると、やはり「WANIMA」の方が楽しく聴きやすいイメージが強い。

 

結局、ここまで色々と考えてみると、ハイスタが支持層を広げるのは難しいのかな?なんてことを考えてしまう。だけど、ハイスタ自身がそれを狙っているのかって部分もありますよね?

 

世代を繋ぐ「Hi-Standard」という存在

https://pbs.twimg.com/media/DIEt4hKUwAALDLr.jpg

画像引用URL PIZZA OF DEATH (@pizza_of_death) | Twitter

ハイスタの支持層の拡大について勝手に色々と考えた上、挙句「若者に受けない」みたいな感じなってしまったのだが、結局のところ「Hi-Standard」自身がそういった層の獲得を狙っているのかって問題もある。

 

その辺に関しては10月にリリースされるニュー・アルバムの楽曲を聴いてみないとわからないが、2016年にリリースした『Another Starting Line』の感じからする若者に媚びる印象は薄いかな?

 

彼らの現在の役割って、自らが作り上げたシーンのリスナー全てに受け入れてもらうサウンドを作るのではなく、影響を与えた後輩バンドや、そのファンと共にシーンを永続・拡大させていくって部分なのかなって思う。

 

今回のツアーも会場がアリーナの場合は、勢いのある若手との共演が多く、世代を超えた集客狙っている感じもする。それって過去のバンドシーンではフェス以外あまり見られなかった光景だし、様々な世代のリスナーが1つのシーンを共に盛り上げ、楽しむって凄い良いよね。だからこそ「Hi-Standard」は若者を意識したバンドに変わる必要はないのかも。

 

WANIMAの歌詞にあるような

「今は立派な君のパパも 1度は聴いてたんだHi-STANDARD」

 なんて1つのシーンを親子で楽しむ時代が遂にやってきたのだ!!