culture time

独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

邦ロックを代表するバンド[Alexandros]って評価は皮肉じゃないかと思った話

 人生には無限の可能性が広がっているなんて考えていたのは10代前半までだ。気がつけば現実という名の鎖に繋がれ、夢に向かって歩む事もすら許されない自分自身の姿に落胆すら覚えた時もある。

 

 しかし、こうして鎖に繋がれたまま日々を全うしている限りは、世間のレールから大きく外れることなく生きてゆく事が出来るはずだ。

 

 今ではそんな小じんまりとした人生すら幸せに思えてきた・・・ってな具合に本日は「グラストンベリー・フェスティバル」を目指すと言っていたわりに国内で小さくまとまってしまったバンド「[Alexandros] (アレキサンドロス)」について記事を書かせていただこう。

目次

とにかく最近の[Alexandros]を見てほしい

www.youtube.com

 

 こちらの映像は、2016年から2017年にかけて開催された[Alexandros]のツアー「Tour 2016~2017 ~We Come In Place~」のファイナル公演を収めたものである。ツアーのファイナルということもあり、会場には大人数を収容できる幕張メッセが選ばれ、[Alexandros]の「現在」が存分に披露された。しかしながら今回のツアーの成功は、果たして目標への確かな一歩なのだろうか?

 

 最近の彼らを見ていると明らかに目標への道がずれてしまっている気がしてならない。

   

   [Alexandros]と言えば、結成当初より英国の伝統あるロックフェス「グラストンベリー・フェスティバル」にてヘッドライナーを務めることを目標にしているのは有名な話ではあるが、映像に収めれている『NEW WALL』を見る限りでは、近づいているのは千葉の浦安近郊「東京ディズニーランド」なのではないだろうか?

 

 ストリングスを交えた壮大な演奏に日本語と英語が混ざりあったポジティブな歌詞、サビではオーディエンスとともに歌い上げるスペクタクルな展開は、何とも夢の国テイストであり、2016年にリリースされた音源版よりもキラキラしている。もしや映画の主題歌をねらっているのか!?なんてことをついつい考えてしまうのだが、もう既にディズニー映画の実写版「ターザン」にて日本版の主題歌を担当していましたね。

 

 脱線してしまった話を[Alexandros]の目標について戻しますが、結局のところ彼らの「グラストンベリー・フェスティバルへの出演」って目標ではなく夢なんですかね?ここ最近ではそんな夢も諦めて、国内での安定したポジションに小じんまりと納まろうとしている雰囲気がビシバシ伝わってきます。理由はどうあれ、一応は渡米した綾部の方が行動力は上。[Alexandros]ってやっぱり慎重派なバンドなのでしょうね。

慎重なロックバンド[Alexandros]

ワタリドリ/Dracula La(初回限定盤A)(DVD付)

 [Alexandros]って名前を聞くと、筆者はどうしても慎重派のバンドというイメージが湧いてしまう。

 

 デビューが決定するまでは普通に就職し、働きながらバンド活動をしていたなんてエピソードが有名だからこそ抱いてしまうイメージではあるが、やっぱり人生設計は真面目に考えていそうなバンドである。多くのバンドマンがコンビニバイトと彼女の収入で生活を成り立たせている中、彼らは堅実に働き、デビューのタイミングを伺っていたのだ。

 

 そういったタイプだからこそ、現在手にしている成功を手放すような事はせず、海外への挑戦なんて無理にする必要なんてないと考えているのかも。未来への希望や決意を歌う彼らの代表曲『ワタリドリ』も、今となっては小さくまとまってしまった自らに対する皮肉にすら感じてしまうのは寂しい話である。

 

 それにしてもユニバーサルとパートナーシップ契約を結んでからの彼らは、悪い意味で「邦ロック」という看板を背負ってしまっていると筆者は思う。

 

邦ロックを代表するバンド[Alexandros]の誕生

 

 [Alexandros]というバンド名に改名する前は、[Champagne]というバンド名で活動していた彼らは、デビュー数年で期待の新人バンドと呼ばれるようになり、瞬く間に若者たちの支持を集めていった。そんな彼らに対し、誰しもが[Champagne]は直ぐにメジャーバンドになると考えていたのだが、そこから数年が彼らの長きに渡る溜めの期間となってしまったのは有名な話。毎年毎年、「来年ブレイクするアーティストランキング」にノミネートされるも、大きくブレイクすることなかった。

 

 そんな彼らに転機が訪れたのは2014年だ。まず、3月に結成当初から使用していた[Champagne]というバンド名が、諸事情により[Alexandros]に変更されるというハプニングがあった。なんとも幸先の悪いスタートと思われていた2014年ではあるが、11月にはユニバーサルとパートナーシップ契約を結びメジャー進出を発表。翌年にリリースされたメジャー1発目のシングル『ワタリドリ』が大ヒットし[Alexandros]はスターバンドの仲間入りを果たしのだ。現在では、[Champagne]よりも[Alexandros]というバンド名の方が認知度が高いですよね。

 

 だが、筆者は彼らのメジャーデビューが確実に正解だったとは思わない。多くの人々に自らの作り上げた音楽を聴いて欲しいという気持ちもわかるが、気がつけば現在の彼らは「邦ロック」を代表するアーティストなどと呼ばれているのだ。

 

 そもそも邦ロックなんてカテゴライズは90年台には耳にすることはなかった。その辺に関してはやはり2000年より開催されている「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の影響も強くあり、同フェスに参加するアーティスト達が「邦ロック」と呼ばれるポジションにカテゴライズされることが多く、当然、[Champagne]時代からフェスに参加している彼らも、同様の分類をされている。

 

   しかし、当時と違う事が1つある。それは、彼らがメジャーデビューを果たしたことによりブレイクし、気がつけば「邦ロック」を代表するアーティストと呼ばれるようになったのだが、そういった国内のポジションを守るためには邦楽リスナーの好む楽曲を作り続けるしかない。そのため、メジャーデビュー以降の[Alexandros]の楽曲は、国内需要を意識したライトな作品が多く、ヒットはするものの海外活動への足掛かりとは呼びにくいものであった。それゆえ「邦ロックの代表」なんて評価は彼らとって“足かせ”でしかないのだ。

 

人気バンドの宿命“タイアップ”に縛られる[Alexandros]の音楽性

EXIST!(初回限定盤A)(DVD付)

 メジャーデビューから数年で、見事トップバンドの仲間入りを果たした[Alexandros]。TVを見ていれば「あれ?これ[Alexandros]の曲じゃない?」なんてことも多く、その度に彼らが国民的なバンドに近づいているんだななんて事を考えてしまうのだが、ちょっとばかりタイップ曲が多すぎやしないだろうか?それだけ世間からの評価も高く勢いもあるって感じで良いとは思うのだけど、2016年にリリースされた『EXIST!』なんて収録曲の大半がタイアップ曲で構成さてしまっている。

 

 決してタイアップが悪いという訳ではないが、リリースの大半がタイアップとなってくると、どうしても楽曲からバンドとしての個性が失われてしまう印象が強い。

 

 例えばドラマの主題歌などの場合は、作品の雰囲気にあった楽曲が必要になるし、CMに起用される場合は、15秒から30秒という短い放送時間の間に印象的なフレーズを盛り込む必要がある。大半の場合、CMや挿入歌などではサビが使われることが多いため、サビ重視のメロディの強い楽曲という形になりやすい。そういった楽曲作成段階での制約多さが、ロックバンド[Alexandros]としての持ち味を殺してしまっている感も否めない。

  

www.youtube.com

 上で紹介している楽曲は、[Champagne]時代にリリースされた1stシングル『city』である。現在の彼らと比較すると荒削りではあるが、曲の進行やギターのザラザラ感は、まるでUKのポップ・ロックのようだ。『city』を聴いてもらえばわかるように、当時の彼らの楽曲には、シンプルなバンドという編成の可能性を模索するかのように、1曲の中に様々な展開が盛り込まれているのだ。そして、そんな音楽性が彼らの魅力であった。

 

しかし現在の彼らの楽曲といえば、デジタルサウンドやストリングスをふんだんに盛り込んだバンド編成の枠を超えた音となっている。

www.youtube.com

上記のような音楽性の変化については、2016年にリリースされた13枚目のシングル『Swan 』を聴いてもらえば明らかである。荒削りな音が洗練されたなんて評価をする人も多々いるが、現在の彼らは筆者から見れば「メジャー的な音」であり「JPOP」にカテゴライズして問題ない。シンプルなバンド編成ながら多様な展開を聴かせてくれた彼らのワクワクするような音楽スタイルは失われ、ありがちでシンプルな展開に変わっている。それらを取り繕うため、幾重にも重ねられたストリングスやデジタルサウンドの厚化粧は、楽曲としての完成度を高めているようで、実際は彼らの本来持っている表情を殺してしまっているのだ。

 

 まさにタイアップに縛られたメジャーの彼らは、本来持っている個性すら捨ててしまったのである。

 期待すべきポイントは“基盤構築後のマイナーチェンジ”

www.youtube.com

 本日は[Alexandros]の目標や音楽性の変化について考えてみたのだが、現在の彼らでは「グラストンベリー・フェスティバル」への出演は100%無理なのではないだろうか?というか、もうそんな目標諦めてしまったのだろうか?そんな印象すら持ってしまう最近の彼らの国内ポジション。

 

 調べてみると一応は海外でのライブ展開も行っているようだが、国内バンドに対して好意的なアジア圏。夢への道は始まったばかりである。

 

 もし彼らが今でも「グラストンベリー・フェスティバルへの出演」という目標を捨てていないなら、国内の人気があるうちに自らが目指していた音楽性へ戻ってみたらどうだろうか?このままでは「邦ロック」の代表バンドのままだよ?

  

【Amazon.co.jp限定】明日、また(完全生産限定盤)(ラバーバンド付)【オリジナル特典:A2サイズポスター付】

【Amazon.co.jp限定】明日、また(完全生産限定盤)(ラバーバンド付)【オリジナル特典:A2サイズポスター付】

 

  

【Amazon.co.jp限定】明日、また(通常盤)【オリジナル特典:A2サイズポスター付】

【Amazon.co.jp限定】明日、また(通常盤)【オリジナル特典:A2サイズポスター付】