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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

「THE ORAL CIGARETTES」に対してヴィジュアル系って言うのは褒め言葉だと思った話

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 人気バンドのインタビュー記事などでよく見かける「影響を受けたアーティストは?」という鉄板の質問。こう言った質問をする理由としては、メンバーのルーツとなっているアーティスト達の影響が、バンドの音やスタンスに色濃く反映されることが多いからなのでしょう。中には影響を受け過ぎてしまいパクリなんて中傷を受ける方々もいらっしゃいますが・・・。

 

 とはいえ要領のいい現代っ子。ここ最近のバンドの皆さんは、年々増える様々なジャンルを上手に組み合わせて新しい音楽を作っているようで、懐か新しい音楽が次々誕生しております。言わば現在の音楽業界は雑種傾向にあり、異種交配を重ね進化し続けているのです。中にはゴリゴリの純血種を貫いている皆さんもおられますが、ストレートエッジ的な思想感の強さを持っているためエンタメ向けではありません。本日はそういった方々は置いておいて、ルーツであるアーティストの遺伝子を受け継ぎ過ぎてしまったため、ビジュアル系なんて言われている雑種犬「THE ORAL CIGARETTES」略して“オーラル”について考えてみたいと思います。 

 

2017年12月26日名前間違えを修正 

目次

THE ORAL CIGARETTESの見た目がV系説

https://pbs.twimg.com/media/DNIZzr0V4AA7Vg2.jpg

引用URLTHE ORAL CIGARETTES (@oral_official) | Twitter

 一部の音楽ファンからはV系なんて呼ばれているオーラルですが、そういったカテゴライズをされてしまった原因について考えてみましょう。ビジュアルファンの皆様からすると「 あ?V系って言われるのが不服なの?え?まじ安ピンで口に穴開けちゃうよ?」なんて思われるかもしれませんが、今回は皆さま穏便にお願いします。全てはオーラルの紛らわしさがいけないんです。はい。さーせん。

 

  平謝りも済んだので話を戻そうと思います。

 

 まず、彼らがV系なんて言われてしまう原因の1つに、混沌とした世界観を表現しすぎたアーティスト写真があります。ご覧の通り、ここ最近の邦ロックと言われるバンドには感じられないダークなオーラ。スターウォーズならば絶対シスでしょ、殺意の波動が溢れすぎ。こんなアー写のバンドとwanimaのようなポジティブ精神の陽バンドが同じシーンに共存してるんですよ?広すぎでしょ邦ロック。そりゃファン同士がTwitterでバンドの代わりにクローン戦争しちゃう訳ですよね。

 

 ダークな世界は百歩譲って良しとしましょう。だけど、ビジュアル系なんて言ってる割には髪型やメイク、ましてやこの服装は違うだろ!!なんて、おっしゃる方も多いと思いますが、皆さんの想像するビジュアル系って結構極端なものではありませんか?

 

 ケープを何本も使って立てた“初期X”のようなヘアスタイルや“MALICE MIZER”のようなフランス人形風のゴスロリファッション、“GazettE”のようなホスト風のシャッキーンな感じなどなど、偏見的なイメージの強さは否めませが、実際のところV系バンドの格好も多様化しており、定義なんて大雑把な感じなんですよ。

 

  あえて言うなら普段着にするにはちょっとばかり不便で、一般社会で暮らす皆さんには着用する機会の無いような衣類です。色合いはモノトーンカラーかドギツイ原色が定番で、茂みを通ったら小枝に100パー引っかかるであろう余計な貴金属の装飾品がジャラジャしています。

 

 中には文化服飾の1年生が着てそうな、布切れを羽織ったようなドレープ感満載の衣類を好んで着ている方々も存在しますが、そういったバンドの大半は、「俺らもうガチガチのビジュアル系じゃないんだよね」ってバンドが多いかな。イメージ的には下の写真のような感じの格好です。

 って!!おい!!モロにボーカルの山中じゃねーか!!という具合にモノトーンコーデにロングスカート風のワイドパンツなどなど、こりゃ確信犯ですよ旦那って感じです。

 

 ちなみにアレキサンドロスの“川上ヨウペ”もこんなファッションをしていますが、他メンバーは結構カジュアルな感じだったりするので、あんまり気になりませんね。と、こんな感じに、オーラルがV系と言われる理由の1つとして、ファッションとアーティスト写真の雰囲気があげられるのです。写真だけ見れば確かにV系ぽいよね。

 

とにかく歌い回しがV系バンド・・・それが「THE ORAL CIGARETTES」!!

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 前奏でのコーラスが何度聴いても「ゲッゲリロ〜ゲッツゲリロ〜」にしか聞こえないことで有名な最新シングル『BLACK MEMORY。今作品は映画「亜人」主題歌と起用され、オリコン最高位3位を記録。“THE ORAL CIGARETTES”というバンドの知名度を大きく飛躍させた作品ではあるが、その露出の多さ故に、昭和生まれの音楽リスナーに大きな波紋を呼んでしまった。

 

「なんかこんな歌い方をしていたバンドが流行っていた時期があったな・・・そうだ!ヴィジュアル系の歌い方だ!」

 

 一部の音楽リスナーの間では既に有名な話であった「オーラル、ヴィジュアルバンドに間違えられる説」が『BLACK MEMORY』のヒットにより再燃、いや過去のものよりも大きな火柱を上げているのだ。ノリの良いドラムのリズムから始まる今作品、「ゲッゲリロ〜ゲッツゲリロ〜」なんてオーディエンスのボルテージを高める哀愁漂うコーラスのメロディライン!!コレは最高の出だしでは!?なんてことを考えた矢先「Hold for a moment 聞き飽きた〜」なんて太めの声が聞こえてくる。いや、いいんだけど何か最近のバンドにしては、とてもオーソドックスな楽曲展開。タイアップ曲だから仕方がないにせよ、サビ前の「No one gets close to me」なんて決まり文句みたいなフレーズ、完璧だよ。

 

 やはり最大の問題点は、サビの歌唱方法なのだろうか?「叫ぶぅ⤴」って感じが何ともV系風の甘いビブラート。低音から高音にしゃくり上げるような歌いまわしに秘められた隠しきれないルーツ。2コーラス終了後の間奏に導入された伸びあるギターソロ。落ちサビ前のメロディの歌い回しなんてヴィジュアルバンドそのものなのでは・・・。『BLACK MEMORY』の前のシングル『トナリアウ』なんてガチでやばい。21世紀に帰ってきたぞ俺らの90年代Vロックが!!まるっきりラ◯クじゃねーか!!

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ボーカルの山中が影響を受けた大御所 アーティストの存在

TWENITY 2000-2010

 

 バンドの印象の8割は、ボーカルで決まる。当然過ぎる話題ではありますが、特に我が国ニッポンでは、その傾向が強く、ボーカルが脱退しようもんならバンドは解散なんて流れがお決まりとなっています。それゆえ我らが「THE ORAL CIGARETTES」のバンドとしての印象も、ボーカルの山中様が8割握っていると言っても過言ではなく、彼のさじ加減1つでいくらでもバンドの評価を変えることが出来るはずなのですが、それに反発するかのごとく、歌い回しは日に日に「ヴィジュアル・ロック化」していくのです。

 

 もう手っ取り早から化粧もしろよ!なんてことを考えてしまうそうになりますが、何故、山中様は現在のような歌唱方法になってしまったのでしょうか?理由は彼の音楽のルーツにありました。

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 「人を愛せ、大地を愛せ、海を愛せ、そして地球を愛せ。全て愛し、全てを包み込む。さあ私の胸に飛び込んできなさい」て感じのポージングで有名な、ヴィジュアルロック界のカリスマバンド「GLAY」のボーカル“teru”も、山中の音楽観に影響を与えた人物の一人と言われている。確かに、力強くも張りのある歌いまわしは、絶え間なく注ぐ愛の名を千のナイフで刻みつけるteruの影響が感じられるが、山中の年齢から考えると、GLAYをきっかけにバンドを初めて「邦ロック」に辿り着くのは奇跡。まるで音楽業界の漂流者である。

 

 中でも山中に最大の影響を与えているバンドと言えば、やはり「L'Arc~en~Ciel」なのだろう。バンド名はフランス語で「虹」を意味しているとのこと。中学生時代に得意げに上記を説明していたヤバメの女子を思い出す。筆者にとっても青春のバンド。V系と言われるのを嫌う割に、ヴィジュヴィジュしてしまっている突っ込み待ちの欲しがりやさん。海外での評価も高く、山中が幼少時代を過ごしていた“タイランド”でも公演が開催されるほど人気を誇っている。艶やかさのある色っぽいビブラートや、悩ましげな余韻を残すブレスの入れ方は、V系の歌唱方法の基本形をとことん追求したシンプルかつ最強の形。『HUNTERXHUNTER』のネテロの正拳突きみたいなもんですね。

 

 以上のようなアーティストに強い影響を受けた“山中”にとって、現在の「オーラルV系説」は、もはや褒め言葉でしかないのかもしれない。最近の楽曲なんて押せ押せムード満載で、完全に邦ロック界の黒船バンドと化している。

 90年代のV系ロックと00年代のギターロックが年の差婚したバンド 「THE ORAL CIGARETTES」

  色々とオーラルに付いて考えて見たのですが、結局の所、このバンドがV系バンドなんて言われになってしまう理由としては、ボーカルの山中の存在が大きく、自らのルーツである音楽の影響が前面に押し出されてしまっていることが原因である。

 

 それが悪いかと言えば悪いことではなく、その他のバンドを見ていても、ギターだけ明らかにメタラーのオーラが滲み出ていたりすることもあるし、レッチリを意識しすぎた少し恥ずかしいベーシストも多いし。

 

 でもそれって仕方のない事なんです。だって自分が音楽を始める切っ掛けとなったルーツ的な存在の影響はやっぱり大きいじゃないですか。だからインタビューでも「影響を受けたアーティストは?」なんて質問をするんでしょうね。

  

 オーラルに関しては、たまたまそれがバンドのイメージを大きく左右するボーカルだったってことであり、演奏自体は2000年代以降のギターロック調。そこにボーカル山中のルーツである90年代「Vロック風の歌いまわし」が乗っかっている感じ。双方ともに時代を彩る音楽ジャンルであり、両者の間の子が「THE ORAL CIGARETTES」なのであろう。やや歳の差はありますが・・・。

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なのでV系ロックに誤解されるのは、彼らにとって汚名ではなく名誉なのかもしれません。だからこそ、次回もし“LUNATIC FEST.”が開催される事があるならば、オーラルを参加させてください、お願いします。