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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

気がついたら「米津玄師」がヤンキーとも仲良くなっていた話

Bremen

 

地方都市に在住している方にとっては“あるあるネタ”みたいな感じではありますが、地元に残っている幼少期からの友達って、学生時代はヤンチャしていた人達が多くないですか?

 

一般的なの友人たちが進学により上京してしまった事が原因だとは思われますが・・・筆者の地元の元ヤン構成比率は結構高めなんですよ。

 

そんな事例は全国の地方都市でも多いらしく、日本でも有名な広告代理店では、筆者くらいの年齢の「元ヤン風味」の方々を「マイルドヤンキー」なんて名称でカテゴライズしているようです。地元に長く住んでいるだけで、この言われよう。全くもって迷惑な話ですね。

 

それはさておき、そんなマイルドな友人達と久々に飲みに行った際に、筆者は驚きの言葉を耳にしたのです。

 

 「最近、米津玄師を聴いてんだけど、超いいよね」

 

 「わかるわかる〜」

 

いやいや、お前らどうした。いい歳してまだ喧嘩しているのか?最近も鈍器で頭を殴られたばかりなのか?いい加減やめろって。思考回路がショートしてるぞ。

 

なんて事をついつい考えてしまいましたが、昔はヤンキーだった皆さんも、今では嫁と子供を持った一家の主。当然、落ち着きますよね。更生しますよね。

 

いや、でも“米津玄師”なんてキーワードが、学生時代ラッパーみたいな格好をして、バンダナを首に巻いていた自称ギャングスターの皆さんの口から出てくる事ってあるんですか?

 

米津玄師は、日サロにも通ってないし、いかついサングラスもかけてないぞ。君たちは、スパルタで有名なヨットスクールにでも預けられていたのかい?いやいや、本当にそん位の更生具合。米津玄師に対して“金属バッド”ではなく“心”を向けられるようになったなんて、友人として嬉しい限りです。みんな大人になったな・・・。

 

本日は、本来では混ざり合う事のない層まで虜にしてしまった「米津玄師」について考えてみよう。

目次

 

映画主題歌に起用され注目を集めた『打上花火』

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第二の『君の名は。』なんて前評判で公開前より注目を集めていた『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。

 

作品としては『君の名は。』を超える大ヒット!!と、まではなりませんでしたが、TVCMなどで流れる印象的な主題歌『打上花火』は多くの人々から注目を集め、オリコンチャート首位獲得や、YOUTUBE「国内年間トップトレンド2017」の音楽部門1位に選ばれるなど、2017年を代表するヒット・ソングとなったのです。

 

そんな主題歌を担当したのがラップシンガーの「DAOKO」と、シンガー・ソングライターの「米津玄師」であります。

 

そうです。あの米津玄師です。ヤンキーなんかとは真逆の存在。むしろ引きこもりアーティストだったんじゃないの?

 

それゆえ、支持層のイメージは圧倒的に陰キャの皆さんだったはず。

 

でも、今曲のヒットにより米津玄師はヤンキーからも認められる存在になったのではないでしょうか?ヤンキーの皆さんにとっては、米津玄師への入り口となった曲といっても過言ではありません。

 

ヤンキー文化とは対極に位置するアーティスト「米津玄師」

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画像引用URLプロフィール | 米津玄師 | ソニーミュージック オフィシャルサイト

ショッピングカートに乗っかった写真なんてTwitterにアップしているとアカウントが炎上するぞ!?なんて心配をしてしまったが、よくよく見れば米津玄師さんではありませんか。

 

写真の風貌や行動を見ているとデビュー当時の印象とは少しばかり変わって、ヤンキーみたいにハメを外してしまっているのかな?いや違う、こんな行動をするなんて僕らの知ってる米津さんじゃない。きっとヤンキーにシメられたのち、カートに乗せられ海に廃棄される状況なんだ。米津さんは身長高いから運ぶのも大変だもんね。

 

それでは僕らの米津さんについて少し説明させていただこう。

 

小学校時代にWEBで見た“Flashアニメ”に影響を受け音楽に目覚めた米津玄師少年。中学生の頃にはバンドを結成しオリジナル曲を制作していたとこの事。ここら辺まではミュージシャンのプロフィールとしては、ありがちなテンプレ的な感じ。少年の頃から前髪長めだったんでしょうか?気になります。

 

その後もバンド活動を継続するも、他者との共同制作は自分には不向きと考えるようになり、音楽制作はPCを使用した個人での作品が主体となっていったのです。こうして作られた楽曲は「ニコニコ動画」などのWEBサイトに投稿され、多くのネットユーザーに支持されていきました。様々な意味で新時代を代表する引きこもりアーティスト“米津玄師”こと“ハチ”誕生の瞬間です。

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新時代なんて大それた言い方をしてしまったが、米津玄師ってやっぱり才能と時代がマッチした印象の強いアーティストであり、自ら新たな時代を切り開いた存在という訳ではありません。IT文化の発展や個人で使用できる音楽機材の進歩がなければ、米津玄師というアーティストは存在しなかったかもしれないし、彼という存在を認めるリスナーも少なかったと考えられます。

 

そんな文化形態は「お家遊び」という言葉がまさに妥当であり、「お外遊び」を主流としているヤンキー文化とは対極に位置するものです。それゆえ、米津玄師とヤンキーが交わる事など筆者は考えられなかったかな?

 

例えば「箱」という言葉に持つイメージ。筆者にとっては「PC」や「XBOX」を連想させられるワードですが、ひと昔のヤンキーの皆さんには「ハコスカ(スカイラインの旧モデルの愛称)」や「ブタ箱(留置場)」を想像してしまいます。それ程までにヤンキー文化とオタク文化は乖離しているのです。

 

全くもって不可解な状況。夜も眠れません。そんな中、筆者の頭に1つの薄っぺらい仮説が思いついたのです。

 

「ヤンキー」ヒットソングに敏感説

BOOTLEG

ピカピカのホイールに黒光りした厳ついボディ。車内に設置された無数の芳香剤の香りには統一感がなく、ブレンドされた臭気が鼻腔を刺激する。うん。直ぐに酔うなこれ。

 

そんな憂鬱な気分に追い打ちを掛けるように発せられた「この車、土禁だから靴は脱げよ!!」という友人からの言葉。

 

H&Mで購入した僕の格安の靴下は妙に生地が薄く、足元に敷かれている滑らかな毛質のフカフカのマットが足裏に直接触れているようで妙にこそばゆかった。だけど、厚手の靴下を履いてる君には僕の気持ちなんてわからないよね。

 

そういえば毎年冬になると君はよく言っていたもんね「現場仕事は足元から体が冷えてくるんだよ。だから靴下は厚手で良いものを履くんだぜ」って。もし君が学生時代に、その靴下を履いていれば、上履きに入れられた画鋲で足を傷つけることも無かったかもね。今だから言うけど、あの画鋲入れたの3組の工藤だよ。君に虐められたこと相当恨んでたからね。

 

母さん。僕は今、ヤン車に乗っています。そんな状況で、ある仮説が筆者の頭によぎったのです。

 

 「ヤン車ってヒット・ソングが流れてることが多くない?」

 

 ヤンキーだってなんだかんだ人の子。音楽にだって興味があります。それゆえヒット・ソングには敏感なのではないでしょうか?流石に自らのイカツイ印象を崩すようなか「アニメソング」や「ゴリゴリのアイドルソング」を流したりはしませんが、その時代のトレンドである音楽が流れている印象を受けます。

 

さらに彼らは良いと思えば、「邦楽」だけではなく「洋楽」も聴くし、ジャンルも「HIPHOP」「R&B」「レゲエ」「ロック」など、その許容範囲は非常に広いのです。

 

節操がないなんて気もしますが、「ロックが1番」なんて思い込んでいる筆者に比べれば、ヤンキーの皆さんの方が柔軟かつ公平に音楽を楽しんでいるのです。きっと、そういったスタンスだからこそ、何の引っ掛かりもなく、元引きこもりアーティストのイメージだった米津玄師を受け入れることが出来たのでしょう。

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「おい、米津。おまえの『打上花火』良かったぜ。これからはオマエの曲、色々聴いてみるからよ」ってな感じで、気がつけば米津玄師が認められたのです。『LOSER』なんてノリもいい感じだし好きそうだよね。米津DANCEは少しばかり怖いけど。

 

それにしてもここ数年で支持層が大幅に広がった米津玄師。アルバムはオリコン首位を獲得したりと、飛躍の2017年でした。2018年もドラマ主題歌を担当するなど、より一層の活躍が期待されています。是非とも、その人気が『打上花火』になってしまわないことを筆者は願うばかりです。