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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

クリープハイプの集大成!?ニュー・アルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々に』

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「泣きたくなるほど嬉しい日々に」なんて言葉を彼らから聞かされても、「またまたどうせ裏があるんでしょ?」なんて勘ぐってしまう人も多いのではないだろうか?そんな“変化”がチラリと覗く「クリープハイプ」の新作『泣きたくなるほど嬉しい日々に』ついて本日は書かせていただこう。

 

2年ぶりのアルバムリリースながら、その長さを感じさせないクリープハイプというバンド

リバーシブルー

“世界観”という言葉に対する疑問から、自らの芸名を「尾崎世界観」したなんてエピソードは有名な話なのだが、そんな捻くれ者の彼が自らのバンドのアルバムのタイトルに『世界観』なんて名前を付けたのがメジャー・デビューから4年後の2016年の話。

 

ある意味セルフタイトルといってもよい特別な作品なのは確かなのだが、自らが疑問に抱く“世界観”という言葉を彼は消化することができたのだろうか?はたまた捻くれ者の彼らしい盛大な皮肉だったのか?真意は明らかではないが、前作『世界観』からの2年という月日の流れの中で、何かしらの心境の変化が彼らにあったのは確かなのだろう。

 

しかしながら、今作がリリースされるまでの2年間という月日は、長いようで短くも感じた。音源の発表も少ないながら、メディアへの露出や映像作品のタイアップ、書籍のヒットやフェスへの出演など話題性も高く、ひとつひとつの活動での存在感も確かなものだったからこそ、長期にわたるリリースの空白期間があろうともクリープハイプというバンドが風化することがなかったのだろう。

 

まーその辺に関しては、流行りに影響されることのないクリープハイプの作る“確かな楽曲”があったからこそ。

 

個人的には今作のリリースまではあっという間だった気がします。

 

今だに『死ぬまで一生愛されてる思ってたよ』定期的に聴いちゃってるし、なんとも色褪せないクリープの世界。むしろ濃厚。

 

それにしても今作に収録されている楽曲は、どれもこれも話題性のある曲ばかり。彼らなりのリスナー拡大への“勝負”への姿勢が感じられる。

『泣きたくなるほど嬉しい日々』収録曲

泣きたくなるほど嬉しい日々に(初回限定盤)(DVD付)(丸スチール缶パッケージ仕様)

  • 1. 蛍の光「私立恵比寿中学提供曲セルフカバー」

  • 2. 今今ここに君とあたし

  • 3. 栞「FM802 × TSUTAYA ACCESS キャンペーンソング クリープハイプ Ver.」

  • 4. おばけでいいからはやくきて「NHK「みんなのうた」2月・3月のうた」

  • 5. イト「映画「帝一の國」主題歌」

  • 6. お引っ越し

  • 7. 陽「東京メトロ「Find my Tokyo.」CMソング クリープハイプオリジナル Ver.」

  • 8. 禁煙

  • 9. 泣き笑い

  • 10. 一生のお願い「etflix「REA(L)OVE」主題歌」

  • 11. 私を束ねて

  • 12. 金魚 (とその糞)

  • 13. 燃えるごみの日

  • 14. ゆっくり行こう

 

泣きたくなるほど嬉しい日々に(初回限定盤)(DVD付)(丸スチール缶パッケージ仕様)

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「より多くの人達に聞いてもらいたい・・・」そんな気持ちがあふれるクリープハイプのニュー・アルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々』

www.youtube.com

2012年にメジャー・デビューという転機を迎えたクリープハイプ。メジャーに進出すると商業的な成功を意識して“作風が丸くなる”なんて話をよく耳にする。そんな事例が多いのも当然のことで、インディーズのような自主制作と違い、メジャーでは商業として定期的に作品をリリースする必要もあるし、常に“売れる”楽曲が必要とされている。

 

さらに結果を出せなければ一定期間で契約は解除されちゃうし、ある程度実績を出さなければ自分たちのやりたいことなんて出来やしない。

 

そりゃ「音楽で生きていきたい」なんて気持ちが強ければ強いほど、ネガティブで難解な表現は控え、ライト層を意識したポジティブで単調な楽曲を制作してしまうはず。「業界に魂を売るなんて」言葉は、本当に的確な表現であります。

 

こういった環境は、クリープハイプのような生々しくも過激な表現を売りとしているバンドにとっては武器を奪われるようなもんですが、彼らの凄いところは、そんな逆境すら逆手に取り作品に深みを与えたところなのではないでしょうか?

 

直接的で過激な言葉はオブラートに包み込み、ある種の連想ゲームにも近い言葉で比喩的にまとめ上げる。なんとも大人になったもんです。しかし実のところは楽曲を聴けば聴くほど、詞を見れば見るほど、オブラートなんて薄い膜では包み込めない彼らの刺々しい感情が漏れ出しています。メジャーながら毒気を持ったバンド。そんな印象がクリープハイプでありました。

 

ですが、今作『泣きたくなるほど嬉しい日々』では、そんな毒気は極力抑えられ、いい意味で深みのあるメジャー作品という雰囲気が強まっているのです。

 

裏表のない感謝の言葉。

 

捻くれ者のクリープハイプというバンドが素直にそんな言葉をアルバムタイトルに付けてしまうほど、現在のバンドの置かれている環境に満足しているのでしょう。だからこそ多くの人達に自らの楽曲を聴いてもらいたい・・・そんな気持ちとクリープハイプというバンドの“現在”が今作『泣きたくなるほど嬉しい日々』には詰まっていると筆者は感じました。

 

 

泣きたくなるほど嬉しい日々に(初回限定盤)(DVD付)(丸スチール缶パッケージ仕様)

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泣きたくなるほど嬉しい日々に(通常盤)

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