青春って、もっとこう、光ってるもんだと思ってた。
夕日に照らされた部活帰りとか、告白のタイミングで風が吹くとか、そういうやつ。
でも、現実は違った。
昼休みは購買のパン争奪戦で負け、放課後はゲーセンの商品とメダルが貯まるばかり。
走るのは遅刻のときだけ。泣くのは自転車で転んだときだけ。
まわりはちゃんと青春してるように見えた。
文化祭で恋して、クラスマッチで一致団結して、卒業式で泣きながら「また絶対遊ぼうね!」とか話してたよね。
こんな自分でも卒業式くらいは何かあると思ったが、何事もなく帰宅してゲームをしてたら1日が終わってた。
1年後に隣のクラスの友人に偶然会った時に「お前のクラス卒業式の後、みんなでファミレス行ったりしてて仲良かったよな。同級会とか毎年やるの?」って聞かれた。
なんでお前の方がウチのクラスのこと俺より知ってるんだよ。
自分の日常には青春がなかったのか、はたまた無いものねだりの青春コンプレックスなのか?
いまだに消化することができない。
もしかして、そんな日常が青春だったのかもしれないといえば、そうなのかもしれない。
という訳で本日は筆者の青春を肯定してくれそうなガールズバンド サバシスターについて書かせていただこう。
サバシスターの日常感が好き
サバシスターの曲を聴いていると、どうしても“ちびまる子ちゃん”が頭に浮かぶ。
あの、やる気ないくせにプライドだけは高くて、ちょっと泣き虫で、あと大体いつもゴロゴロしてる感じ。それでいてたまにキレる。
要約するとただのグズなんだけど、なんか落ち着く日常感。
サバシスに「ジャージ」って曲がある。
なんとなく歌詞を見てみるとジャージ=彼みたいな比喩かと思い、サバシスお前らもなんだかんだ青春してたんだなって少し寂しくなった。
でもインタビューとか見てたら、ガチでジャージを横取りされた事を曲にしただけらしい。楽曲の舞台は学校の屋上とかではなくメルカリという超日常。
しかも値下げしてもらったタイミングで横取りされてるし。ちびまる子かよって。
なち あれは、私ジャージ好きなんですけど、メルカリで緑のジャージを見つけて、コメントつけて値下げしてもらったんですよ。でもその瞬間、違う人に横取りされて。
こっちが勝手にドラマにしようとしてただけで、あっちは「いやいや、現実なんてそんなもんでしょ」って、おい!
なち そうですね。自分の中で書かないと消化できないこととか、たとえば悲しいこととか感謝の気持ちとか、ごめんなさいっていう気持ちとか、自分の中だけで消化できないものを曲にして残せたらいいなって思ってます。
引用URLhttps://bezzy.jp/2022/11/14207/3/
昔は「女子の日常」なんて完全に別の星の話だと思ってた。
でも今、サバシスターを聴いていると、「あれ、自分と変わらなくない?」って。くだらないことで笑って、怒って、落ち込んで、寝て、また笑う。
そんな日常って、男女共通のフォーマットなんですね。
横山健いう大先輩に認められたサバシスター
近寄りがたい先輩っていますよね?
なんか怖そうとか、偉大で緊張しちゃうとかで。
でも、そんな先輩相手でもズカズカ接している同級生ってたまいるよね。
「え・・・まじ?大丈夫!?」みたいな。そんな話。
人気バンドの所属レーベルは知らなくてもPIZZA OF DEATHってレーベル聞き覚えがあるはず。
90年代に思春期を過ごした我々にとっては、これはもうブランドどころか信仰に近かったパンクレーベル。
Hi-STANDARDとか今や生きる伝説じゃん。
みんな「STAY GOLD」でちょっと泣いてたよ。泣かなくても、心の中ではこっそり起立していたはず。
それくらい、あの音楽は“背筋を伸ばす”力があった。
そんなレーベルに、サバシスターが「入りたいです」と自分から言ったらしい。
これ、ラーメン屋に「米持ってきたんで雑炊作ってください」って頼むくらいの度胸である。ある意味パンクだけど…。
横山:俺思うんだけど、最初から自分の音楽っていうものがあったんじゃないかな。いいバンドはたくさんいて、真似したくなるようなことも、技術的に手が届かないこともあるんだけど。それって自分が伸びていくためのエレメントに過ぎなくて。最初からやりたいこと、自分が音楽やるんだったらこれだろうっていうのがわかってるんだと思う。それくらいの芯の強さは感じた。
引用URLhttps://realsound.jp/2024/01/post-1537116.html
見事、サバシスターは横山先輩に受け入れられちゃったようです。
なんか先輩から一目置かれる同級生を見てる気分。羨望。
やる時はやるぜ!サバシスターって感じですね。
同業のSHISHAMOとの違い
“ガールズバンド”って一括りにされがちだけど、SHISHAMOとサバシスターは、魚で言えばサバとししゃもくらい違う。
同じグリルで焼かれても、脂の出方が全然違う。
つまり、存在の仕方が違う。
まずは“恋愛の歌”で比べてみよう。
SHISHAMO「君と夏フェス」
あまりに青春すぎて直視できない系ソング。
どこまでも真っ直ぐな恋心。抑えようとした感情。盛り上がりすぎてバレた本音。
そして、それすら「よかった」と受け止めてくれる相手。
なんだこれ。リア充しか聴いちゃダメなやつじゃない?
そもそも“夏”“フェスデート”とか人が死ぬには十分な理由でしょ。
こんな恋、俺の青春の1ページには無かったぞ。落本?
サバシスター「マイベストラブ! 」
「あ、これ書いた人、ちゃんと振られてるな」と思った。
自分から振ったふりをしてる未練系でもなく、逆にドロ沼に引きずり込む復讐劇でもなく、きれいに振られて、ちゃんと泣いて、ちゃんと立ち直った人間の言葉。
そんなやついる?
少なくとも、俺の周りにはいなかった。
だいたいみんな、SNSで病んだポエムツイートして、LINEのアイコン即変えて「本当に大切なものって失ってから気づくよね(泣)」っていう失恋停滞中の人種ばっかりだった。
SHISHAMOみたいなキラキラ感はないけど、「あの頃はまだ二人とも若かったし、でも今思うと最高の恋だったよね」なんて、30過ぎてから酒を飲みながら語るような人生の厚みを感じさせる楽曲。
サバシスってまだまだ若いでしょ?前世で恋した経験を曲にしたの?
なぜかオッサンの心にも刺さってしまう恋愛ソング。対象年齢高め。
SHISHAMO「明日も」
ありふれた日常を、ひとつひとつ丁寧に拾い集めたような曲。
何かを変えるような強さじゃないけど、「今日もがんばったね、明日もがんばろう」って背中をポンと押してくれる。
まじめでピュアな人生の応援歌。
「今日も1日大変だったけど、きっと明日は素晴らしい日になるはず」なんて、ポジティブに人生を歩もうとしたけど自分には無理だった。
今日寝たら明日起きれなくても後悔はない。どうせ明日も同じような1日だよ。俺は。
サバシスター「サバシスターのテーマ」
朝起きたら鼻がムズムズして、友達と鍋囲んで、ゲラゲラ笑ってる。
たぶんこの曲、何も起きてない。
でも、そういう日こそなぜか記憶に残る。
「目標も夢もないけど、まあ今日も笑ってるからいいか」みたいな空気感が、めちゃくちゃ沁みるのは、もう歳だから?開き直ってるだけ?
SHISHAMOが“背中を押す歌”なら、こっちは“となりで一緒にゴロゴロしてくれる歌”。
SHISHAMOが描くのは、ちゃんと前を向いて、ちゃんと誰かを好きになって、ちゃんとがんばる人の世界。ちゃんとしてるのに、なぜか涙が出る。
サバシスターが描くのは、ちゃんと前も向かず、誰かを好きになっても不器用で、がんばれない日のこと。ちゃんとしてないのに、なぜか救われる。
昔、SHISHAMOの世界に憧れてた。ああいう風になれたらよかったのに、と何度も思った。でも、いつもまぶしすぎて、目を細めることしかできなかった。
サバシスターの曲を聴いてると、思う。「目、開けてていいんだよ」って言われてる気がする。
笑われたって、ちょっとヘラヘラしてたって、それでも人の生活はちゃんと進む。
SHISHAMOのMVの中では、俺はたぶん背景のモブ。でもサバシスターのMVなら、ジャージ姿で端っこに映ってる気がする。しかも、ちょっと変な顔で。
こんなオッサンでも、それならまだ救われる。

