culture time

独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

Cö shu Nieという読めないバンドの話

7 Deadly Guilt (初回生産限定盤)

 

最近、「名前が文章」みたいなバンド、多くない?

 


説明文か?ってくらい親切で、めっちゃわかりやすい。でもさ、そこまで説明しないと日本人って本当に伝わらないの?

 


逆に、Go!Go!7188みたいに意味はよくわかんないけど響きで勝負してるやつもいる。
go!go!vanillasは、まだ「なんとなく明るい感じ?」って雰囲気は伝わる。そういうの、大事だと思う。

 


でも、いちばんタチが悪いのは、「まず読めないバンド名」。何回聞いても読めない。検索もできない。でも曲は聴く。めっちゃ聴く。で、毎回のように「東京グール アニメ OP」って検索して、やっと出てくる。Cö shu Nie。

 


ああ、またこの名前か、ってなる。

 


という訳で本日は本気で名前を毎回忘れてしまう“Cö shu Nie”にいついて書かせていただきます。

 

Cö shu Nieって名前は読めない。でも音楽はもっと読めない

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Cö shu Nie。コシュニエ。そう読むんです。素直にそのままローマ字読みでOK。発音的にもひねりはない。


なのに、なぜか覚えられない。毎回、脳のどっかが拒否する。

 


「コシュー…?」「ニエ…?」

 


なんなら、“o”に変なん点々ついてるだけで読みづらさ3割増しじゃないですか?

なんかよくわからない外国語かと厨二心が交差して、こちらの脳内IMEがバグる。

こっから先は普通の“O”で処理させてもらう!!

 


何回も聴いてるのに。何回も検索してるのに。「好きなバンドって何?」って聞かれるたびに、“あの東京喰種のやつ”でごまかしてる自分がいる。それでも伝わらなそうなら“呪術廻戦とかの曲やってるバンド?ユニット?”みたいな。


だって、バンド名間違えるの、地味に恥ずかしくない?「コシュー…ニエ?」って噛んだ瞬間に、なんか一気に“にわか”感出るじゃないですか。


だから怖くて言えない。これ、もう数年そう。

 


でもそんな読めないバンド名の奥に、もっと読めない音楽が広がってる。

 


中心人物は中村未来(なかむら・みく)。


ボーカル、ギター、キーボード、マニピュレーターあらゆる音を操る張本人。

 


ひとりでいくつもの機材をいじり倒して、鍵盤叩きながら歌うその姿は、もはやマッドサイエンティスト。


音楽というより“実験”に近いテンションで曲を生み出してるように見える。

 


実際、彼女は音楽ナタリーのインタビューでこう語っている。

 

 

「人間じゃなくて、音楽になりたいという野望が私たちにはあって」
― 中村未来(Vo, G, Key, Manipulator)|音楽ナタリー

 

 

 

 

 

いやもう、野望どころか、たぶん人間やめかけてると思います。

 


でもこの発言を読んで、やっと腑に落ちた。

 


このバンドの一音一音って、まるで“人間を捨てながら音楽に変わっていく過程”そのものなんじゃないかって。バイクに乗って風になるのと同じ発想。

 


中村未来の声は、言葉じゃなく音になりたがってるし、ピアノやノイズの配置は、理屈じゃなく衝動で置かれてる。

 


とにかく、音が情緒不安定。


展開は唐突で、テンポはぐらつき、構成には一貫性がない。でもそれが妙にリアルで、胸の奥を掴んでくる。

 


乙女心って揺れやすいんだよ?なんてアドバイスをくれるレディの皆様、女子って、こんなに狂気秘めてるの?

 


そんな揺れやすい乙女心がモロに反映している楽曲は至極。

 


メッチャ儚い曲もあれば、血管ブチ切れの情緒不安定ナンバーもある、点滴打ちながらストレッチャーに横になって、超加速で突っ込んでくるようなバンド。

 


生きたいの?死にたいの?そんなテンションのまま、音だけが走り続けてる。

 

なんだかんだアニメ作品っとCo shu Nieの音楽性ってめっちゃ合う

Flos Ex Machina (通常盤)

 

アニメの主題歌って、本来はテンション上げるやつでしょ?


主人公が走る、敵を睨む、最後は空がバーンって開けて「やったるぜー!!」ってなるやつ。

 


なのにCo shu Niにバトン渡すと、こっちはもう心のストレッチャーで搬送中。


イントロから情緒が迷子で、サビで完全に帰ってこない。

 


「これほんとに“主題”歌か?」って毎回なるんだけど、気づけば作品に一番刺さってるのがこのバンド。

 


感情がめちゃくちゃなときに限って、一番合う音楽。

bullet × PSYCHO-PASS 3

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サイコパスの世界って、全員どっか壊れてるじゃないですか。


そのエンディングに流れる『bullet』は、静かで、冷たくて、どこか壊れてる音楽。
夜の高速道路をひとりでぶっ飛ばしてる感じ。


でもただ走ってるんじゃなくて、後部座席にめっちゃ悪い自我を乗せてて、ずっと自問自答してる。

 


「正しかった?」「でも仕方なかったろ?」「もうどうでもよくない?」みたいな、
感情のキャッチボールが全部無言で進んでく。

 


ある意味、後押しソングなのでしょうか?


エンディングなのに、どこにも終わりがない。

 give it back × 呪術

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この曲、最初は「なんか陽だまりとかで、ゆったりしている曲かな~」って思ってたんです。


でもよく聴くと、泣きたいとも言わずに全部失ってる人の音楽だった。


言葉にしないからこそ伝わるやつ。声を荒げずに「返して」って言うやつ。


なのに返ってくる気配ゼロ。やばい、これはもう手遅れのやつ。

 


呪術廻戦のEDでキャラがただ座ってるだけなのに、「この人、今日何も食べてないよね…?」って心配になるレベルの感情。


でも、もし現実にこの曲みたいな雰囲気の人が目の前にいたら筆者はたぶん、うっかり「なんか元気なさそうだけど、大丈夫?」とか言ってしまって、完全にとどめを刺す側になる。

 


もうぶっ壊れかけてるのに、最後の引き金を筆者が引いちゃうやつ。

 


それくらい、この曲はそっとしておいてあげるべき悲しみに寄り添いつつも、誰しもが持つ苦い経験の後悔を思い出させる曲。

 


でも音はめっちゃ優しいからたちが悪い。

MAISIE × 執事 -魔女編-

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黒執事ってさ、ざっくり言えば「後ろめたい人間と悪魔の話」じゃないですか?


心の奥にある“隠したつもりの何か”を、悪魔にサラッと見抜かれて、それでも「契約、する?」って優雅に問われるやつ。で、そんな作品のOPに『MAISIE』。最初から空気が地獄寄り。

 


この曲、作詞作曲はHYDE、歌はCo shu Nie。もう構図がヤバい。悪魔が呪文を書いて、バンドがそれを詠唱してるみたいな編成。


未来さんの歌声は、弦楽器と絡みながら音の中に溶けていって、まるで“耳元に降りてくる囁き”。返してほしいんでしょ?って、静かに揺さぶってくる。どんだけ逃げても頭に直接語りかけてくるよう。背筋が凍る。

 


無機質なデジタル音がどこまでも冷たくて、でも遠くで聞こえる弦楽器が凛として美しい。怪しくも美しいゴシックの世界に迷い込んだような錯覚をさせる。

 


この曲、マジで誰ひとり人間のまま終わらせてくれない。曲のラスト付近なんてバックコーラスに悪魔憑いてるやん。

 


Co shu Nieが目指してたの、音楽になることだったんだよね⋯?

 


まさか、悪魔の台本でそれを叶えるとは思わなかったけど。