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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

むかしKANA-BOONは酸素と言っていたファンって今は呼吸困難で苦しんでるの?って話

KANA-BOON THE BEST (通常盤)

地球上において、酸素とは極めて貴重な元素である。
化学式で言えばO₂。植物が光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで私たちは呼吸を許されている。生物学的に言えば、酸素とは「生存を可能にする分子」である。

 

だが本稿が扱うのは、単なる酸素の話ではない。

 

20XX年代のはじめごろから、日本のSNSでは「KANA-BOONは酸素」という投稿をよく見かけるようになった。

 

そんな事が本当にありえるのか?いや、ありえない。これまで多くの科学者たちが、何十年、あるいは何百年もの歳月をかけて、酸素とは何か、その生成と循環のメカニズムについて明らかにしてきた。


酸素は原子番号8番の気体元素であり、その分子構造O₂が生体のエネルギー代謝に不可欠であることは、もはや生物学における常識だ。

 

もしKANA-BOONが酸素であると仮定するならば、それはこの確立された定説を根底から覆すことを意味する。


植物ではなく「ロックバンドが酸素を発生させていた」。そんな主張を真っ当な学会で発表すれば失笑され、科学者生命に傷がつくどころか追放の危険性だってある。

 

だが、研究者としてはここで立ち止まるわけにはいかない。KANA-BOONは本当に酸素なのか? たとえ成果が出ないとわかっていても、本当にそうなのかを確かめたくなるのが、我々研究者の宿命である。

 

では本日は、KANA-BOON(カナブーン)と酸素について書かせていただこう。

 

 

KANA-BOONってバンド、もしかして酸素出してない?

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「KANA-BOONは酸素である」そう主張する者たちが一定数存在する、という仮説に私は気づいてしまった。彼らはKANA-BOONを“好き”とか“最高”といった通常の称賛語では語らない。


「酸素」。それは、生物の呼吸に不可欠な分子。原子番号8番。化学式で言えばO₂。

私は戸惑った。だがすぐに、こう考えるようになった。「もしかして、酸素とは本当にKANA-BOONなのではないか?」

 

まずはこの映像を見てほしい。

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画面の向こうには、密集した人々。拳を振り上げ、叫び、酸欠寸前のような熱気のなか、それでも誰一人として倒れない。いや、むしろ元気だ。めちゃくちゃ元気。

おかしくないか⋯?

 

この人口密度で、あれだけモッシュして、呼吸が乱れないなんて。

 

そこでふと思ってしまったのだ。KANA-BOON、もしかして酸素出してない?

 

KANA-BOONは酸素を生成するバンドの1つだった説

もちろん、現時点で確認されている地球上の酸素は、主に植物の光合成によって生成されている。KANA-BOONのギターリフに葉緑体が含まれているという報告はまだない


だが、科学において重要なのは観察と仮説である。彼らが「酸素を発しているように見える」ならば、それを否定する前にデータを集めるべきだ。

 

<ai作成によるイメージ図>

まず最初に着目したのは、Twitterで繰り返される以下のような投稿である。「バンドは酸素。ロックは血液。」(2014年頃/当時のファンアカウントプロフィールより)

 


匿名の一般アカウントによるものだが、いずれも強い一貫性を持っている。「音楽は感情」ではなく、「音楽は生命維持」という思想。

 

我々人類には、音楽だけで生命活動を維持するような機能は備わっていない。
音楽好きとしては、それが理想の進化形なのかもしれない。だが残念ながら、それはただのナイモノネダリに過ぎない。

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そもそもこんな厨房でギターを弾くこと自体が馬鹿げているし衛生的ではない。仮に酸素を発生させていたら厨房は大変なことになるぞ。

 

また、調査を進めるうちに筆者は気づいた。「KANA-BOONは酸素」という表現は、決して孤立した例ではない。


Twitterを中心とするSNS上では、「邦ロックは酸素」「バンドは呼吸」「フェス=酸素濃度高め」など、同様の比喩が無数に観測される。

 


つまり、KANA-BOONはこの“酸素信仰”の中でも、特に「濃度が高かった」存在のひとつに過ぎない。邦ロックというジャンルが酸素を生成しているのだ⋯。

 

いやいや待ってくれ、こんな説を唱える人間が多くいる事自体が、酸素不足で冷静な思考ができなくなっているのではないか!?

 

それでは推しのバンドが活動休止や解散をしたらどうする。その酸素を吸っていた人はどうなるんだ?窒息してしまうぞ。KANA-BOONの例を見てみよう。

 

KANA-BOONの生成する酸素が年々薄くなってきている

シルエット - KANA-BOON

KANA-BOONというバンドは、かつて「酸素」と呼ばれていた。


これは比喩である。が、当時のSNSを遡れば、比喩というより“本気”だった人類が少なからず存在したことがわかる。

 

そんな彼らの供給システムに最初の亀裂が入ったのは2019年。


ベースの飯田が脱退し、音の下支えが抜けた。供給ユニット1基喪失。


ここまでは、まだギリで吸えていた。ファンたちは「ちょっと酸素薄くなった?」とつぶやきながらも、過去音源で呼吸をつないでいた。

 

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活動の不安もあったKANA-BOONだが、ベストアルバム『KANA-BOON THE BEST』から新曲『スターマーカー』へと繋ぐ流れで酸素を供給。しかし、わかってはいたが、飯田が脱退したのでMVの画面は3分割。4分割ではなく3分割。酸素供給の25%減である。

 

 

しかし2020年、最大の出来事が起こる。谷口鮪、休養。これが大きかった。というか、“酸素そのもの”が止まったわけで、呼吸器ごと外されたようなものだ。ボーカル不在のKANA-BOONとか裏打ちビートのノリノリインストバンドでしかない。むしろドラムとギターで酸素作るかと無理だろ。

 

ファンたちは大混乱。なぜなら「酸素が酸素やめるって何!?」という状態だったからである。もう解散してもおかしくない勢い。「酸素作るのしばく休みます」宣言だ。

 

そこから先は、ご存知の通り。2022年、活動休止。2023年には、ギターの古賀とドラムの小泉が脱退。もう全員いなくなるんじゃないかってくらい、次々とバルブが外されていった。ボンベの残圧はゼロに近く、供給装置は解体寸前。もはやKANA-BOON酸素勢は、最大の危機を迎えていた。

 

このタイミングで静かに酸欠で消えていったファンもいれば、「私にはまだまだ違う酸素がある」と言い残して、他バンドへと移っていった者もいた。人は強くない。肺はひとつしかない。そんな混乱の中、2024年に活動が再開された。

 

残ったのは谷口と、2022年から正式加入したベース・遠藤の2人だけ。

社長と新入社員だけで再スタートした中小企業のようなバンドである。

 

 

二度と吸えないと思っていたKANA-BOONの酸素。本気で質上がってるじゃん。

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ベテラン社長・谷口鮪と、新入社員のベース・遠藤昌巳。そこに派遣社員(=サポートメンバー)たちを加えて、KANA-BOONは見事な復活を果たした。構成だけ見れば、もはやロックバンドというより少人数体制の町工場である。

 

だが、それでも演奏は成立しているし、音も出ている。だけど正直に言えば、2人だけで“かつてのような酸素”を生み出すのは難しい。バンドとしてのピークは、度重なる休止のなかで、すでに過ぎてしまったかもしれない。勢い任せで空気をかき混ぜていた裏打ちロックも、最近はずいぶん影を潜めている。全てにおいて過去のような酸素生成は難しいと考えられていた。

 

が。

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KANA-BOONのライブ映像を確認したところ、想定外の現象が観測された。酸素、めっちゃ出てる。なんなら昔より吸いやすい。何これ、ギターの音もボーカルもめっちゃ質が良すぎるんだけど!?

 

こちらが「さすがにもう酸素出ないでしょ」と油断していたせいで、急激な濃度変化に軽くむせた。

 

しかも供給源は、たったの2人。谷口鮪(ベテラン社長)と遠藤昌巳(新入社員)。あとは派遣社員のサポート体制。それでこのクオリティの酸素生成?まじで、あり得るのか……? 音楽科学の常識が覆った瞬間である。

 

特筆すべきは、鮪の声だ。以前よりも太く、安定し、酸素ボンベ的な安心感すらある。
シルエットも大分バンドの大黒柱感が出ている。もしかして彼自身が貯蔵タンク化している説、いよいよ信憑性が出てきた。

 

この映像は、KANA-BOONがただ“活動を再開した”のではなく、酸素供給装置として“完全に復旧した”ことを証明している。驚きで肺が震えている。とりあえず、深呼吸させてくれ。