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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

「HEY-SMITH」はスカパンクの枠には収まらないごちゃまぜバンドだ!!<バンド紹介>

時代とは繰り返すものだ。当然、音楽やファッションなども時代の流れとともに流行り廃りがあり、進化しつつも何だかんだ同じ流行がやってくるのだ。

 

そして、ここ最近のラウド・ロックブームやメロコアブームの再来を見ていると、「ああ本当にリバイバルってあるんだね」と、改めて感じさせられる。

 

しかしながら、ちょっとばかり気になるのが、90年代にあれだけの人気を誇っていたジャンルである「SKA(スカ)」の元気がないことだ。

 

スカと言っても、2トーンなどのルーツ的なやつではなく、90年台にメロコアと共に一世を風靡した「スカパンク」である。

 

本来であれば、90年台に活躍したバンド達に影響を受けた若手バンドが注目浴びても良い時期のはずなのだが、そんなスカバンドが登場する気配は全く無い。

 

これは困った。時代は繰り返すものなのだから、再びブームが来てもらわないとA型の筆者としては、なんとも気持ちが悪い。さらに、「次はスカブームとか来るかもね」なんて言っていた町内の似非音楽評論家である筆者の面子にも関わってくる重要な問題だ。

 

しかしながら、若手で勢いのある「スカバンド」がいないって訳ではない。うん。いないこともない。うん。いるんだけど・・・果たして「HEY-SMITH」をスカバンドと言ってよいものなのか・・・。とっても悩むよね。

 

目次

 大注目のスカバンド??「HEY-SMITH」

 

HEY-SMITHさん(@hey_smith_japan)が投稿した写真 -

 

 2006年に大阪で結成された「HEY-SMITH(ヘイ スミス」。バンド名の「SMITH」は、結成当時在籍していたメンバーの頭文字から取ったものらしく、そこに何となく「HEY」と頭に付けたとのこと。てっきり、フロントマンの猪狩(GU)のイメージから、「職人」的なニュアンスで「SMITH」なのかと筆者は思っていた。

 

ちなみに、在籍しているメンバーの頭文字をバンド名にするパターンは「WANIMA」と同じような感じらしく、発想は安易ながら意外にうまくまとまる事が多いようだ。

 

そして同バンドの特徴と言えば、ギター・ベース・ドラムの一般的なバンド構成に、ホーンセクションを加えた一見スカバンドを思わせる構成である。

 

それでは、なんだかんだ気になる「スカバンド?」って部分は後回しにして、先に面倒なメンバー紹介をさせてもらおう。

 

「HEY-SMITH」メンバー紹介

 

HEY-SMITHさん(@hey_smith_japan)が投稿した写真 -

 

猪狩 秀平

「HEY-SMITH」の中心人物。身長が182cmある長身。バンド内ではギターとボーカルと担当しているが、本人はボーカルではなく「ギタリスト」と発言していることもある。

 

使用ギターは「エクスプローラー」。当然憧れのアーティストはメタリカのジェームスヘッドフィールド。ギタープレイは刻みを多用したアグレッシブなパワースタイル。筆者の勝手なイメージでは「NOFX」チックな印象。

 

サウンドプロデュースなどもおこなっており、「Dizzy Sunfist」のアルバム作品を担当している。

 

Task-n

ドラム担当。小学校2年より始めたドラム演奏は、20年以上のキャリアを誇っている。Hi-STANDARDの影響を受けパンクバンドを始める。

 

しかし、練習でスタジオに入る度、猪狩からダメ出しを受けていたため、「一時期はノイローゼになるかと思った」とインタビューで語っている。とっても努力家で苦労人のTask-nである。

 

テナーサックス担当。何かとあれば上半身裸の状態で、ステージに上がっている。むしろPVも裸。もう常に裸。

 

メンバーが入れ替わる前は、Iori(元メンバー)も同じく上半身裸だったのでバランスが取れていたが、最近は「満」一人なので少し寂しそうである。

 

Yuji

前任のベース・ボーカルが脱退したことにより、2015年に「HEY-SMITH」に加入。ハイトーンの爽やかボイス担当。声質的には前任ボーカルと近い気がする。元THE BONUS TRACKのメンバー。

 

イイカワケン

前メンバー脱退に伴うメンバー募集で加入。トランペット担当。スカバンド「LONG SHOT PARTY」の元メンバー。そう、あの「ロンショ」のメンバーです。こういった形で、筆者の青春時代に活躍していたアーティストに再び出会えるのは地味に嬉しい事である。

 

かなす

先に紹介した「イイカワケン」と同じく、メンバー募集にて加入。バンドではトロンボーンを担当。

 

「HEY-SMITH」初となる女性メンバー。彼女の加入によりホーン・セクションが強化された。猪狩とは10年来の付き合い。スカバンド「KEMURI」のトロンボーン奏者である「マッスル増井」の弟子。元アパレル店員。ほとばしるサブカル臭。

 

 

 

 

 

普段紹介しているバンドと比べ、メンバーが多く紹介が大変。それよりも、スカバンドは人数が多い分、一人あたりのギャラも少なくなるのかな?ちょっと気になる。

 

そんな余計な心配は置いておいて、本日の主題である彼らの音楽性を紹介していこう。

 

 

果たして「HEY-SMITH」はスカ界の救世主なのか?

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メンバーの構成は間違いなく「スカバンド」である「HEY-SMITH」。インタビューなどでも「スカ」という言葉がよく出ており、やや低迷気味のスカ界を再び盛り上げてくれる存在になるのでは?と、期待をしてしまう。 

しかしならが、筆者が自信を持って彼らのことをスカ界の救世主と言えない部分について初期〜中期の楽曲を参考に考えてみよう。
 
「おお!この跳ねるようなドラミングからのホーンパートは!!往年のスカパンク!!」と思いきや、ダンサンブルな裏打ちパートが存在していない・・・。
 
でも、最後のホーンのフレーズとか聴き終わりの爽快感はスカっぽい。しかし、管楽器はいるけどスカっぽくない楽曲は「Snuff」風なのだろうか?

www.youtube.comだけども上で紹介する、クラシカルなホーンパートが印象的な「Endless Sorrow」では、しっかりと哀愁あふれるスカサウンドを聴かせてくれるのだ。さらには、ダメ押しのホーンソロ!夕焼けが見えちゃうよ。
 
「HEY!!」などのコーラスワークもイイ感じ。ちなみに、どっかで聴き覚えのある管楽器のフレーズは、「アルルの女」のオマージュ。でも、同楽曲もスカ好きからは「違う」なんて批判を受けそうな曲である。筆者的にはOKなんだけどね。
 
実際のところ、「HEY-SMITH」自身はスカって部分に対してはどう考えているのだろうか?その辺に関しては、彼らのインタビューを確認してみると「HEY-SMITH」の目指すべきスタンスが見えてくる。

猪狩:そうですね。スカ的な要素もそうですけど、ホーン・セクションの響きが好きなんです。昔、ライヴハウスに通ってた高校生の頃は、ホーン・セクションを入れたバンドが結構たくさんいたんですけど、あの響きに持って行かれました。

 引用URLHEY-SMITH | 激ロック インタビュー

彼らは決してスカに固執しているバンドないことが理解できる。しかし、自らが良いと思ったことに対しては貪欲取り入れる姿勢は、ホーン・セクションをバンドに編成していることを見れば明らかである。
 
確かに彼らの楽曲を聴いていると、影響を受けたであろうアーティストの姿が思い浮かぶことも多い。
 

「HEY-SMITH」に影響を与えたアーティストと楽曲

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それでは、「HEY-SMITH」に影響を与えたアーティストと、それらを色濃く感じさせる彼らの楽曲を紹介しよう。

HEY-SMITH」に影響を与えたアーティストと、それらを色濃く感じさせる彼らの楽曲を紹介しよう。 

 

Goodbye To Say Hello

www.youtube.com

彼らの作品を改めて振り返ってみると、「ハイスタ」や「NOFX」などのメロディックパンクの影響を強く感じる。

 

コチラの楽曲はコーラスワークなども「ハイスタ」風味が強いが、やはり根底にあるのは「NOFX」のサウンドなのではないだろうか?ハイスタ自身も強く影響を受けているアーティストであり、「HEY-SMITH」もインタービューなどで、影響を受けたアーティストとして名前を上げることが多い。中でも、猪狩のギタープレイからは、その影響が色濃く映しだされている。NOFX自身もホーンセクションを導入している楽曲もあり、「HEY-SMITH」との類似点も多い。

Journey

www.youtube.com

 

 盛大なイントロから始まる「Journey」。Aメロのゆる~い感じは「サブライム」のビーチテイストが見え隠れしている。そこには、やはり「サブライム」やスカパンクの始祖である「オペレーション・アイヴィー」の延長バンド「ランシド」などのサウンドが根底にあるからこそだろう。

Download Me If You Can

www.youtube.com

 存在してそうで、存在していなかった(メインストリームで)メタルとスカを融合させたバンド。コチラで紹介する「Download Me If You Can」では、そんな実験的な要素を見事に融合させた姿が具現化されている。

 

ゴリゴリのメタリックリフが印象的な楽曲。演奏に使用しているギターのモデルを見てもらえばわかる通り、影響を与えたバンドは「メタリカ」。

 

猪狩の黒を基調としたファッションは、メタリカのフロントマンである「ジェームスヘッドフィールド」のイメージしたものだろう。もしかすると、マイクスタンドの高さや、堂々としたギター・プレイも彼の影響なのだろうか?

 

雑種的な影響があったからこそ誕生した「HEY-SMITH」

 様々なアーティストの影響を受け誕生した「HEY-SMITH」。しかしながら、初期作品では、それらの印象が色濃く反映しているため、フォロアーバンドの印象が強く、さらに楽曲ごとにコンセプトがバラバラで一貫性のない楽曲が多かった。

 

しかし、中期作品からは、過剰に導入されていた「HEY-SMITH」のエッセンスが整理され、楽曲は独自性の高いものに生まれ変わっている。

 

www.youtube.com

楽曲のベースはスカに置きつつも、サビではキャッチーかつエモーショナルなサウンド。ボーカルとコーラスの掛け合いも印象的。さらにダメ押しのホーンソロパート。様々なジャンルの美味しい所を総取りである。
 
筆者はスカってジャンルは大好きなんだけど、何となくイメージ的には「楽しい」「明るい」や「怪しい」「チョイ悪風」などの極端なイメージが強い。個人的な意見としては、ホーンセクションが増えることで、表現の幅は広がるのだが、楽曲のイメージは単調になってしまうのかな?と考えている。
 
しかし、「HEY-SMITH」はしっかりと「カッコいい」を表現できている。決して、過去に存在していたスカバンドが「カッコいい」を表現できていない訳ではないのだが、ここまでわかりやすく表現したのは、やっぱり「HEY-SMITH」だ。
 
そして、そういった楽曲を作り出せるのが現代のバンドの利点である。ロックから枝分かれした無数の音楽ジャンルも完成された今だからこそ、様々なジャンルの良質な部分を組み合わせたバンドが数多く誕生している。
 
以上から考えるに、「HEY-SMITH」を「スカ」という1つのジャンルにくくってしまい、代表バンドとして持ち上げるのは勿体無いことである。しかしながら、彼らが活躍することで、スカに対して興味を持つ人達もきっと増えてくれると筆者は考えている。
 
最後に個人的に好きなスカはこんな感じ。


 

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