ありそうでなかった「レゲエ」と「パンク」の融合を見事に果たして、シーンを牽引する存在となったバンドと言えば?なんて簡単なクイズ、邦楽ロックを愛する皆様からすれば簡単な問題である。そう答えは「SiM(シム)」だ。売れ線バンドの記事を書き続ける当ブログのスタンスに反し、「SiM」の記事は何だかんだ少ないので今更ながら記事にしてみようと思う。(過去記事のリライト)
既に存在していた「レゲエパンク」をさらに進化をさせた「SiM」の秘策
皆さんご存知の「オムライス」。コチラの料理、元々は「オムレツ」の練習をしていた料理人が卵の使用量を少しで減らすため、ご飯や肉、野菜などを入れたことが始まりと言われています。
本来であれば「オムレツ」と「ライス」は、別々で食べることが当たり前の時代でしたが、捨てるのも勿体無いと食べてみたところ、「こりゃうまい!!」となりメニューに加えられたのです。
簡単に言えば賄い飯。うかつに海原雄山に提供しようもんなら、「なんだ?この下衆な食べ物は?海原雄山を試そうというのか?(ニャリ)」と、なったでしょう。
そんな「オムライス」も今では多くの支持を集め、本家超える国民食となっています。「混ぜるな危険」なんてもう過去の話。そんな事例は音楽業界にも多く、こんなん混ぜていいかい!?ってなジャンルをミックスするアーティストも増加傾向にあります。
本日紹介する「SiM」というバンドに関しては、「レゲエ」と「パンク」を混ぜ合わせたサウンドを主軸としておりますが、なんだかんだこのジャンル、過去に多くのアーティスト達が既に実践したポピュラー路線となっており、今更、目新しいサウンドではなかったのです。
そんな事態を打開するため、彼らは自ら作ったオムライス(レゲエパンク)に、コレでもかってくらいデミグラスソース(メタルコア)をかけまくったのです。そして誕生した「デミオムライス」。今では大分メジャーなメニューですが、当時はセンセーショナルだったんですよ。
それでは「SiM」の話をしていきましょう。
「ラウド・ロック」シーンをリードするバンド「SiM」
国内の「ラウド・ロック」シーンをリードしているバンド言えば、やはり「SiM」ではないだろうか?
彼らは同ジャンルのパイオニア的な存在ではないものの、シーンの間口を広げるきっかけとなったバンドであることは間違いない。ザビエルみたいなもんですね。
それでは、そんなラウド界のザビエル達を紹介しよう。
「レゲエパンク」バンド「SiM」メンバー紹介
MAH(マー)
写真右から2番目 担当パート・ボーカル
「SiM」といったらやっぱりこの人。管理が難しそうなツーブロックヘアー、腕にはおびただしい数のタトゥーと、いかにもバンドマンな風貌の「MAH」。「SiM」として活動する際は、常にポロシャツにカラータイのスタイルを貫いており、バンドの世界観が常に意識されている。
最近、モデルの「ダーブロウ 有紗」と結婚した新婚さんである。結婚当初は「ダーブロウ 有紗」の名前を「ダークブロウ有紗」だと筆者は勘違いしており、「悪魔的夫婦」が誕生したと思っていた。ごめんなさい。
SHOW-HATE(ショウ・ヘイト)
写真左 担当パート・ギター/キーボード
「GODRI」と比較しても負けない位、ゴリラ顔な「 SHOW-HATE」。そんな野性味溢れる風貌からは想像も出来ないほど、演奏時には様々な作業を器用にこなしている。ギター・キーボード・コーラス・パフォーマンスと担当する役割も多く、「SiM」の音を支える屋台骨的な存在と言っていいだろう。
SIN(シン)
写真右 担当パート・ベース
「SIN」といえば、激しいライブパフォーマンスに定評があるのは有名な話。特に「ギタースピン(ギターやベースをぶん投げ回転させる大技)」は、メンバーや機材に当たってもおかしくないような位置取りで試みられているため、ライブを観ているファンは常にヒヤヒヤしていると思われる。気がつけば吊り橋効果で彼らのファンになってしまっているなんてことも・・・ないですよね。「SiM」の楽器隊の中では「男臭さ」は大分薄く、小洒落ているため何気に女性ファンが多い。
GODRI(ゴリ)
写真左から2番目 担当パート・ドラム
なぜ「ゴリ」か?そんなこと、いちいち聞かなくてもわかるだろ!!そう!顔面が「ゴリラ顔」だからだ!担当パートは想像通りドラム。まさにゴリラのための楽器である。しかしながら、「ゴリラ」ってあだ名、日本国内だけでもメチャクチャいるよね。
熱帯化する日本だからこそ「レゲエ」を聴きたいよねって話
夏になると何故かレゲエが聞きたい気分になるのは筆者だけだろうか?いや、そんなことはないと思う。人間のDNAにはきっと、「暑くなったらレゲエを聴きいて楽しく過ごそうぜ!」って遺伝子レベルで刻まれているのだろう。
そうでなければ“常夏の楽園ジャマイカ”ではなく、“極寒の地ロシア”でレゲエが生まれてもおかしくないって話。
極東に暮らす人々の顔を想像してください。みんな寒さに耐えるため険しい顔をしてますよね?そんな人達がレゲエを聴きますか?
そんな常夏特有のミュージックである「レゲエ」だが、我々の住む日本も年々「熱帯化」が進んでおり、それらに比例するようにレゲエ人気も高まっているのだ。
ラウドでキャッチー、怪しくも軽快な「SiM」の世界
SiMが創り出す楽曲はどれも独創的で特別な世界観を持っている。単純にレゲエにラウド・ロックを融合させただけの簡単なものではない。
それでは、彼らの音源をいくつか紹介しよう。
彼らのルーツが詰まった1STアルバム『Silence iz Mine』
2008年にリリースされた「SiM」の1STアルバム『Silence iz Mine』。自らが影響を受けたアーティスト達を感じさせる曲構成は、まさに1STアルバム。当時のSiMが存分に詰め込まれている。今と比べると、やっぱり「レゲエ感」の強い楽曲が多く、今とは結構別物。純粋にレゲエロックって感じでしょうか。
その中でも、スカ・パンクのパイオニア「OPERATION IVY」の影響や、メロディックなサビを聴かせる「P.O.D」風味の楽曲を聴かせてくれるのです。まさにルーツ作品!!ちょっとばかり雰囲気が重めなので、対象年齢は高いかな?
このアルバムで「SiM」の名前を知った人も多いよね?『SEEDS OF HOPE』
前作よりも更にメタコア感を強めた今作。レゲエパートの割合は減少してしまったものの、ラウド・エモーショナル・キャッチーのパラメーターは激増。前作の重めで暗い雰囲気は払拭され、若さ溢れる爽快感のあるアルバムとなっている。今作で「SiM」を知ったリスナーも多いのでは?
個人的な感想としては、結構な勢いで方向転換したイメージを受ける。楽曲の構成比としてはレゲエ2、エモ4、ラウド4と、レゲエ感は少なくなってしまったが、日本人の好む「サビ」が強調されているためキャッチーで聴きやすく支持層の拡大に繋がたのだろう。
収録曲である『KiLLiNG ME』はライブでもド定番のキラーチューンだが、レゲエ感は極薄の完全なメタコア。売れる音楽と良い音楽の境界や、アーティストの意志とリスナーが求めるものなど、色々と「寄せてきた」印象も強い。何だかんだ言ってはみたがオススメの作品。
楽曲の世界観がさらに高まったメジャー作品『PANDORA』
今作で見事メジャーデビューを果たしたSiM。メジャーに移籍するとサウンドから「鋭さ」がなくなるなんて話もよくありますが、SiMに限ってそれで良かったのかも。
失ったエッジの代わりにメロディラインが強化され、前作で失われていたレゲエ感が見事に復活を果たしているのです。
レゲエ、メタコア、スクリーモ、様々なジャンルの良いところが絶妙なバランスで調和してるところは、まさに匠の技といったところでしょうか。筆者としては1番好きなアルバムでございます。
まとめ
簡単ではあるが、筆者の感じたSiMの魅力を伝えさせていただいた。
全国ツアーのチケットは即完売。数々の全国のフェスに出演し、今では自身のフェス「DEAD POP FESTiVAL」を開催するまでになったSiMだが、彼らは結成10年以上の長いキャリアを持つバンドであり、簡単にスターダムに上り詰めた訳ではない。
何年もかけて全国に撒き続けた“種”が今こうして、SiMの絶大な人気を支えているのである。