1999年のデビュー以来、世界中のラウドロックファン達を鈍器のような重音で滅多打ちにしてきた“猟奇趣味的激烈音楽集団”スリップノット。
強烈なヴィジュアルと唯一無二の破壊的なサウンドは世界中のリスナー達を瞬く間に魅了し、9人の悪魔達はラウドシーンのスターダムに上り詰めた。
そんな彼らが主催する“ノットフェス”が2016年に再び日本で開催される。
本来ならば、再び日本で“ノットフェス”が開催されることは非常に喜ばしいことであるのだが、筆者自身は“ノットフェス”を定期的に日本で開催するのは今後は難しいのではないかと思っている。
今回は開催を難しくしている理由を説明したい。
目次
ノットフェスジャパンの継続が難しい理由
とにかくフェスが多すぎる昨今の日本
“フェスブーム到来!!”最近そんな言葉をよく耳にするようになった。
過去、日本はフェス後進国などと言われた時代もあったが、海外文化をサクッく受け入れる柔軟性と祭り好きの民族性が相まって、国内で開催されるフェスの数が年々増えて続けている。
なぜこうもフェスが乱立してしまったのだろうか?フェス開催の目的を筆者なりに考え、3種類に無理やり分けてみることにした。
フェスの開催目的
- ①興行的な成功を狙ったフェス
興業的な成功を目的としたフェス。スポンサーも多くメディアへの露出も高い。
ビックネームのアーティストが出演するため注目度も高い。
- ②アーティスト主導によるフェス
特定のアーティストが主催するフェス。当然フェスのヘッドライナーは自らが務める。
参加アーティストも主催者が決めるため、ファンにはうれしいフェスである。
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③地方都市の活性化を狙ったフェス
地方都市には、観光資源にもならないような広い公園や屋内施設が多数存在する。
それらを利用しフェスを行うことで、地方都市の活性化を狙うためのフェスである。
簡単に言えばフェスを利用して町おこしをしているのだ。
成功を収めたアーティストが地元で開催することも多く、気が付いたら毎年開催しているなんてパターンも多数ある。
ノットフェスはどうなの?
ノットフェスに関しては①②③の全てが詰まったフェスなのであるが、日本開催に関しては①の要素のみと言っても過言ではない。彼らはビジネスのため来日しているのだ。
時期的な影響に関しては、日本で開催される大型のフェスは大半が夏に開催されているので、ノットフェスとは開催時期がずれるため大きな影響はないと思われる。
しかし、先程も話したとおり、昨今の日本はフェスブームである。今後は夏だけではなく冬場の屋内フェスも開催が増える可能性も高い。そのような状況になれば当然、開催する時期や場所、アーティストのブッキングなどの問題も出てくるはずだ。
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フェスの主軸となる音楽ジャンルの需要的な問題
日本で開催される2つのラウドフェス
現在日本で定期的に開催されているハードロックやヘビーメタルなどのラウドフェスは、オズフェスト、ラウドパーク、ノットフェスの3種類となる。
しかし、オズフェストとノットフェスは密接に関係しているため、同じ年に日本で開催された事例はない。よって日本で開催されるラウドフェスは2種類と思っていいだろう。
国内でのラウドフェスの歴史としてはラウドパークの方が早く、過去にはスリップノットやコーン、リンプ・ビズキッドなどの海外の大物アーティストがヘッドライナーを務めている。
ラウドフェスが二つに分かれた弊害
元々メタル色の強いアーティストが多く参加するラウドパークでは、リンプやコーンの出演に異議を唱えるメタラー達も多かったのは事実だ。しかし、上記のようなアーティスト達は日本での知名度も高く集客力も強い。2016年に開催されるラウドパークのアーティストを見てもらえばわかる通り、ラウドパークはよりメタラー向けのフェスへと進化したのだ。
純度の高いメタルイベントとなったラウドパークを喜ぶコアなメタラーも多いだろうが、日本国内でのメタルに対する認知度はそこまで高くはなく集客的な問題も出てくるだろう、純度が高くなればなる程一般層の足が遠のいてしまうからだ。
かといって、ノットフェスやオズフェストが今後も日本で興行的に成功を収められるとは言えない。
上記、2つのフェスは一般層にも知名度が高いラウドアーティストが出演するが、逆を言えば日本国内での人気を考えた海外アーティスト選びが重要になる。
一般層に媚びれば媚びるほど、コアなメタラー達の批判は強くなるはずだ。
開催時期は違うため両フェスに参加するリスナーも多いとは思うが、ラウドミュージックは決して需要の多いジャンルではない。現状のようなパイを奪い合う状態は両フェスにとって望ましい姿とはいえない状況だ。
出演アーティストに対する感想
今回のヘッドライナーについて
写真は2016年に開催されるノットフェス出演のアーティスト一覧だ。
スリップノットはダブルヘッドライナー的なポジションなので、重要になってくるのはもう一方の主演者だろう。流石のスリップノットも単体での集客には限界がある。
今年度はデフトーンズとマリリンマンソンの出演が決定している。
もし、マリリンマンソンとデフトーンズどっちが好き?と筆者が聞かれたら速攻でデフトーンズと答える自信はあるが、2014年のヘッドライナーだったリンプやコーンと比べるとデフトーンズはキャリア的な問題はないが集客的な弱さを感じてしまう。
マリリンマンソンに関しては国内での人気も高く、きっと集客にも繋がるはずだ。
定番化している日本勢
現在出演アーティストは第3弾まで決定している。
実際問題、今後もノットフェスを継続できるかできないかは、日本人アーティストの集客に掛かっていると言っても過言ではない。
しかしながら残念なことに集客を意識すると、ほぼほぼ前回と変わらない顔ぶれが続いてしまう。出演アーティストの実績は問題ないのだが、ラウドフェスに客を呼べる日本人アーティストとなると限られてしまうのは少々残念である。
より集客のことを考えるならば、ワンオク、ベビメタ、ホルモン、ヴァンプス、コールドレイン、ラスベガス辺りの出演が必要になってくるのではないだろうか?
まとめ
最後に簡単であるがまとめをして終わりたいと思う。
- フェスブームの日本で今後ノットフェスと同時期にフェスが行われる可能性もある。その場合は会場や日程、集客に影響がでる。アーティスト主体のフェスは通常のフェスと違い、流行に合わせたアーティストを選択することができない難しさがある。
- 日本ではラウドミュージック事態に大きな需要がないため、現状のような一つのパイを奪い合う形は望ましくない。日本でも人気のある海外アーティストを集める難易度も高く、それらはラウドパークとも競合してしまっている。
- ノットフェスはラウドパークと比較して、国内アーティストの割合が高く、集客が望める出演バンドが定番化してしまっているため新鮮味に欠ける。ライトユーザーからの支持も高い国内バンドのブームが終わった場合、ノットフェスの集客も減り興行的に厳しくなる。
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