バンドの個性はある程度売れるまでわからない。そんな偏見を持ってしまう理由としては、やはりバンド活動にはお金が掛かるという部分に尽きるのではないでしょうか?
機材代、衣装代、演出代などなど、自らの個性をサウンドやヴィジュアルで表現するには、どうしても潤沢な活動資金が必要になるのです。
それゆえ、バンドとしてのアイデンティティーというか、本当にやりたい事が表現され始めるのは、“ある程度売れた”・“売れる見込みが立った”などの段階だと筆者は考えています。
本日は、おまえらの本当にやりたい事ってなんだ!?と、ついつい突っ込んでしまいたくなる「Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)」について記事を書かせていただきましょう。
個性を発揮しきれない結成当初の「Mrs. GREEN APPLE」というバンドの違和感
引用URLMrs. GREEN APPLEメジャーデビュー!新作は7月発表 - 音楽ナタリー
2013年に結成された「Mrs. GREEN APPLE」。通称ミセスは、なんと僅か2年という短い期間でメジャーデビューを果たしてしまう。その驚異のステップアップに、多くのバイトマン達が嘆き嫉妬した。
バイトマン=(バイトで生計を立てるうだつの上がらないバンドマンの略称)
元々レコード会社に飼われていたプレイヤーを集めたバンドなんじゃねーの!?なんて勘ぐってしまいそうな高速出世。
確かに我々日本人は世界でも有数のバンド好き民族ですので、有能なプロデューサー様と、それらしいプレイヤーが存在していれば、レコード会社主導のもと、流行りに乗ったそれっぽいバンドを量産し、世の需要を満たすことは可能なのです。
そういった事情もあってか、「待望のメジャー・デビュー」などの触れ込みで急発生し、アニメ作品のタイアップを獲得する謎のバンドが多く存在しています。
風貌やプロフィールは超々ロックしているのに、楽曲は超絶歌謡曲。イントロの激しさの割に、サビはポジティブな歌い上げ系。生まれながらのナチュラル・ボーン・JPOPスタイル。言わば養殖バンドですね。
大分話が脱線してしまいましたが、「Mrs. GREEN APPLE」のように突如としてシーンを駆け上っていくバンドを見ていると、上記のような違和感を筆者は感じてしまうのです。ある程度の人気さえあれば、地方ライブハウスドサ回りと、乱立フェスの枠埋めアーティストとして活躍し、レコード会社の収益にも貢献できますしね。
「ミセス・グリーン・アップル」がそういったバンドなのかは筆者には判断できませんが、インディー段階での“楽曲のクオリティの高さ”がなんとも胡散臭さを増長させているのです。
その辺りは初の全国流通盤となった『Progressive』を聴いていただければ理解できるはず。
一般的なバイトマンがやっとのことで制作した全国流通盤の音源って、もっとこう雑さというか、質素というか、金も無いから短い期間で無理やり録音したようなチープな感じがするじゃないですか?
『Progressive』に収録されている『ナニヲナニヲ』のMVも、当然いかにもインディーバンドらしい奇を狙いつつも狙いきれない「俺映像系の監督目指してるんだよね」なんて人達と制作した様な印象ですが、楽曲のクオリティというか、まとまり方としては大分洗練されているのではないでしょうか。
しかしながら現段階では、まだまだKANA-BOON亜種。ハイトーンボイスにサビの4つ打ちなどなど完成度は高いですが、まだまだオーソドックスな展開ですし、メンバーの風貌も一般の方々と変わりありません。バンドとしては徐々に人気は高まっていますが、アーティストとしての個性が前面に押し出しきれていない印象です。
やはり進化するにはメジャーデビューという切っ掛けが必要なのかもしれません。
例としてKANA-BOONのメジャーデビュー後の姿を見てみましょう。ご覧のように“ブサイクバンド”なんて叩かれていた彼らが、よくわからない丘に立って、パッと見カッコイイCDジャケットを撮ってみたり、芸能人と不倫したりと、アーティストの個性を全開に発揮しているのです。
メジャー・デビュー決定でまさかの変貌を遂げた「ミセス・グリーン・アップル」
画像引用URLMrs. GREEN APPLE、メンバーはホラー系好き!? メジャーデビュー直前の注目バンドを直撃! - T-SITEニュース エンタメ[T-SITE]
多くのバンドマンが目指し憧れるメジャーデビュー。バンドとしての成功を意味する言葉の1つでもあるのだが、自らの人生を音楽の評価に左右されるという茨の道を歩むことにもなる。こうして改めて考えてみるとメジャーデビューとは、アーティストとして生きる決意の第一歩とも言えるのではないだろうか。
それなのに・・・。どうしたミセス。原色が眩しくて目がチカチカするよ。メンバー色分けとか戦隊モノじゃねーか。これがインディーズ時代に発揮すことの出来なかった、お前らの個性なのか?メジャーデビュー直前とは言え張り切りすぎだろ。過去の写真と比べてみろ。ボーカルの大森の立ち方は変わらないが、明らかに衣装だけぶっ飛んでるぞ・・・。と、ヴィジュアルに関してはアーティストですので、張り切るのは仕方ありませんよね。待望のメジャーデビューですし。それでは気になる音楽性についての変化を確認してみましょう。
なんか信仰しだした?
久々に会った友人が丁度こんな感じの前向きキャラになっていました。どうやら大学ではスピリチュアルなサークルに所属していたらしく、様々な活動を通して人生に希望が持てるようになったそうです。メジャー・デビューって人を変えるんですかね。
確かにデビュー初となるコチラのミニ・アルバム『Variety』の1曲目に収録されている『StaRt』の歌詞には、幸せ、希望、晴れた町、笑顔、一人じゃない、などという回心キーワードが満載!!
メジャー・デビューは新たな挑戦の始まり!!という決意が『StaRt』には込められている訳ですね。納得の前向きさ!!って、ポジティブすぎて不安になるわ!!
確かにボーカル・大森元貴のハイトーンな力強い歌声は、こういったポジティブポップなサウンドとの相性は抜群ではありますが・・・これが本当に彼らが目指していたバンドの姿なのでしょうか。
ですが「希望や夢を」を唄うバンドの中には、その存在感に説得力を持たせるため奇抜な風貌に走るパターンも見られます。そうした予兆がメジャー・デビュー前の風貌の変化だったのでしょう。
実際、新興系の人達は、もっとナチュラルな風貌で希望や夢を唄いますしね。
と言うわけで、彼らが本当に目指したかったバンドとしての姿は、人々に夢や希望を与える存在ということなのでしょう。
デビューから2年。気がついたらヒーローを目指していた「Mrs. GREEN APPLE」
画像引用URL iFLYER: Mrs.GREEN APPLE [ミセスグリーンアップル] - BAND
メジャーデビューから2年。長いようで短い月日は彼らを進化させるのには十分な時間だったようだ。いや変貌。うん。彼らは何を目指し、どこへ進んでいるのだろうか。もう、あれですか?バンドを超越した存在になってしまったのでしょうか。バンドとしての個性は音と風貌に現れる・・・。
彼らのヴィジュアルが異次元に向かった2017年。リリースされたアルバムのタイトルは自らのバンド名である『Mrs. GREEN APPLE』。アーティストにとってセルフタイトルを付けるという行為は非常に特別なことで、何かしらの決意や転換を意味しているパターンが多い。
なんだ?そろそろ地球でも救おうとしているのか?実際に彼らのインタビューを参考にしてみよう。
大森: 僕です。まだ曲が出そろう前だったんですけど、メンバーに相談する前に決めました(笑)。前作の「TWELVE」が"昔から今まで"を歌ってきた作品だったので、次は"これから先のこと"を歌うアルバムを作ろうとした時、位置付けとして"これがファーストっぽい"と思い、このタイトルが相応しいと。メンバーに言ったら、おーっという感じで決まりました。
引用URL【インタビュー】 Mrs. GREEN APPLE待望のセカンドアルバムは堂々のセルフタイトル作「Mrs. GREEN APPLE」 - トレンドニュース
どうやら以前までの彼らは過去から現在を表現していたらしく、今作『Mrs. GREEN APPLE』を機に新たなステージに進んでいくとのこと、まさにセルフタイトルを付けるに相応しい状況である。
これからは多くのリスナーに対して未来を説き、人々の象徴として歩みを進めていく覚悟。その決意がサウンドとヴィジュアルの両面に現れているようだ。
さらに毎度毎度強烈なヴィジュアルに置いてけぼりであったサウンド面にも相当な変化が現れている。
メジャーになればなるほど、人気が出れば出るほど楽曲がシンプルかつ壮大になっていくのは、Alexandrosの記事でもお伝えさせていただいたのだが、今曲『Just a Friend』聴けば理解できるように、ミセスにも同様の事例が該当するようだ。
溢れ出すピース感。夢や希望を表現するアーティストにとっては理想の姿なのだろう。もう言葉なんていらない。ウォーウォー唄っていれば全ては1つになる。なんなんだあのアーティスト写真とのギャップは。ミセスの想像するエンターティメントの王様はあんな格好してんのか?再びインタビューを確認してみよう。
大森: もちろん「Progressive」の時に歌ってたようなこともいまだにあるし、根本として、核としてもっています。でも今は「Just a Friend」っていう曲や、やっぱり、あの曲のような分かりやすいものをやっていきたいなって思うし、やっぱヒーローでいたいですよね。同世代というか、ちょっと下の子の世代も含めて、夢を与えられる存在でいたいなって思うのはありますね
引用URL【インタビュー】 Mrs. GREEN APPLE待望のセカンドアルバムは堂々のセルフタイトル作「Mrs. GREEN APPLE」 - トレンドニュース
あれ、てっきり教祖を目指していると思っていましたが、どうやらヒーローだったようですね。ある意味、同意かもしれませんが。それにしても、ここ最近はロックを超越したというか、元々やりたかった音楽性は現在のスタイルだったという感じなのでしょうか?確かにインディーズ時代では実現不可能なスタイルです。
年々、顔や胸が変化していくアイドルやセクシー女優同様、アーティストも自らのステージに合わせて実現可能な個性が変化していくという事なのでしょうか。
現在の彼らの姿が本来目指していたスタイルなのかはわかりませんが、様々なアプローチが表現できるようになった今、『Mrs. GREEN APPLE』はどこに向かっているのでしょうか筆者には想像も出来ません。