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独身貴族「カルさん」が音楽やアーティストについて独断と偏見で書きなぐっているブログ「カルチャータイム」です。否定も肯定も全てはアーティストへの愛を根底としています。

『神様、僕は気づいてしまった』なんてバンドじゃないと思ってた話

マスクで顔を隠す人間の心理について考えてことはあるか?

 

大きく分けて理由は2つ。

 

まず、一つ目が変身願望だ。マスクをかぶる事によって、今の自分とは違う人間になりたいって考えている連中だな。ガキみたいな話だが、実際にこんな願望を持った奴らも多いんだぜ。

 

ほら、毎週、週末になるとマスクをかぶった連中が喧嘩でしょっ引かれてくるだろ?そんな奴らのほとんどが、普段は真面目に会社勤めてしているサラリーマンなんだとよ。どうやらマスクをかぶって気が大きくなっちまったらしい。

 

そして二つ目がマスクをかぶる事によって、何かを隠したいって考えている連中だ。顔のコンプレックスだったり、素性だったり、表情だったり、隠したいもんは人それぞれだが、何かを「隠す」って行為に対して後ろめたさを抱えている奴らが大半だな。

 

今回、俺らが追っている奴らの場合は、きっと後者が理由だろうな。マスクをかぶっていても振る舞いが自然だ。変身願望のある奴らはどんなに意識してても、行動に不自然さが出ちまうんだよ。きっと別の自分になったと無意識に思い込んじまって、浮足立っちまうんだろうな。

 

それにしても・・・こいつら妙に堂々しているな。マスクで何かを隠している事に対する後ろめたさなんて、微塵も感じられない。しかもバンド名が『神様、僕は気づいてしまった』だって?

 

人をおちょくったようなバンド名をつけやがって、どうせ、お前らも商業主義のバンドもどきなんだろ。

 

なんて具合に、本日は謎の覆面バンド『神様、僕は気づいてしまった』通称「神僕」のバンドとしての胡散臭について書かせていただこう。

 

 

 完全なるプロジェクト・バンド『神様、僕は気づいてしまった』 

https://pbs.twimg.com/media/D6b3xJmUYAA4U2a.jpg

画像引用URLhttps://twitter.com/_kamiboku

 

俺はな「ロックバンド」ってもんが大好きなんだよ。

 

だからこそ音楽業界が商業目的に作り出したプロジェクトバンドに対しては、どうしても強い嫌悪感を抱いてしまうんだ。

 

よく考えてみろ、コイツらみたいなバンドのメンバーの大半は、大手レーベルに集められた有能なプレイヤーだ。

 

そんな傭兵集団に大掛かりなプロモーションとクオリティの高い流行りの楽曲を当てがって、いかにもロックバンドですって顔してデビューさせちまうんだぜ?

 

バンドとしての成長も無ければ、メンバー同士の絆も無い。胸を熱くするドラマなんて生まれる訳がが無いだろ。まるで表面だけ取り繕ったようなハリボテのロックバンドだ。俺が夢中になんてなれる訳がないだろ。

 

ほら、『神様、僕は気づいてしまった』のプロフィールを確認してみろ。

 

新米のお前でも『神僕』ってバンドの不可解さに気がつけるはずだ。

 

2016年11月28日 - 「だから僕は不幸に縋っていました」のPV公開。同楽曲は、スマホゲーム『スターオーシャン:アナムネシス』の主題歌に起用される。

 2017年3月6日 - 「僕の手に触れるな」のPV公開。同楽曲はテレビ東京系アニメ『ちるらん にぶんの壱』の主題歌に起用される。同年5月31日にメジャー・デビューシングルをリリースすることを告知。

 

2016年にバンド界隈にポッと湧いたと思えば、いきなりのタイアップ。スマホゲームとはいえ、大手ゲームメーカーの作品だ。そして2017年には、アニメの主題に楽曲が起用されている。

 

バンドの楽曲がゲームやアニメに起用されるって事は、ここ最近のバンド業界ではよくある話なんだが、インディーズでの活動実績もない『神僕』に、いきなりこんなデカイ話が舞い込んでくるなんて考えられるか?

 

さらにメジャー・デビューするまでの約半年の間、音源はPVで公開されているだけで、一切の流通がされていないのも不可解だ。

 

そんな強気なプロモーションが取れるのも、レコード会社の連中が『神僕』ってバンド、いや、『神僕』ってバンドの「覆面の中身」に相当な信頼と自信があるってことだろうな。

 

 

 若者の不安定な心模様に寄り添う『神様、僕は気づいてしまった』

youtu.be

『神様、僕は気づいてしまった』の楽曲を聴いてみたか?奴らの実態を掴むには楽曲を聴くことが一番だ。とりあえずメジャー・デビューシングル『CQCQ』を聴いてみろ。

 

どうだ?楽曲の完成度を聴けば、レコード会社が強気な理由がわかっただろ?

 

覆面なんてかぶって誤魔化そうとしているが、奴らは「成功を約束すべく」集められた、その筋のプロフェッショナルだ。それも、かなりの大物のな。

 

曲調としては流行りのギターロックって感じだが、あくまで前奏や間奏に限ったもので、バンドの最大の武器と公言しているように「どこのだれか」の声質を限界まで活かす演奏が心がけられている。

 

東野:楽器しかできないプレイヤーだと、"自分が、自分が"ってなりがちだと思うんです。例えばこのバンドで言ったら、ヴォーカルが武器なので、ヴォーカルを立たせるためには自分の武器であっても、引かなきゃいけないと思うんですよ。楽曲全体を見てここはメロディを立たせたいから、自分は後ろにいこうみたいなことができる人が集まってるので、ちゃんと歌がかっこよく聴こえるし、アレンジで揉めることもないですね。

引用URL https://skream.jp/interview/2017/05/kamiboku_2.php

 

だがな、奴らも人間だ。培ってきた感性までは簡単には変えられなかったようだ。曲中の所々に盛り込んだテクニカルなフレーズが少しばから鼻につく。ロック感の強調。いうならばゲームサウンドやアニソン・ロックって感じだな。

 

そんな楽曲を好んで作るのは、奴らしかいないだろ・・・。

 

奴らは様々なジャンルの集合体だ。1つのジャンルを追求し続けるプレイヤーとは根本からして違う。そんな手法を現代的と言えば聞こえはいいが、言うならば「美味しいどこ取り」のようなものだ。ジャンルに対する様式美なんて欠片もありゃしない。

 

まー節操なくクオリティを追い求めるところが奴らの様式美なのかもしれないがな。

 

現段階としては『神僕』のメンバーの正体は、ネット中心の文化圏で音楽の創作活動をしている「歌い手さん」や「弾き手さん」。その中でもトップレベルのプレイヤーかプロデューサーって、ところで間違いないはずだ。

 

そうやって考えてみると『神様、僕は気づいてしまった』ってバンドのコンセプトも納得出来るだろ。ターゲット層も明確だ。

 

(東野へいと) 10代の頃って、言葉にできないからこそ苦しい時期ってあるじゃないですか。僕たち大人だって、人生で行き詰まったときは神様にすがってしまう。自分の力で証明できない部分を、超常的な“神様”という形に押し込めてしまったりしますよね。でも、それは思考停止することだし、どうなの?と思うわけです。それに、そうやって“神様”とされた存在があるとするならば、人間に甘えられて酔っているんじゃないかって。“僕たちはちゃんとそういうことに気づいているよ”ってことを音楽で表現したくて、この名前になりました。

引用URLhttps://www.oricon.co.jp/special/50018/ 

 

こういった「青臭え感覚」は、ここ最近じゃすぐに「中2病」なんて言葉で片付けられちまうが、自らの存在価値や世の中の不条理って部分に、妙に敏感になっちまう時期があるだろ?

 

歳を重ねるごとに自然に消化される感情ではあるが、過去には、こういった行き場の無い不安や孤独が衝動となってロックで発散されるなんて時代もあったんだ。

 

だが、どうやらここ最近では、顔も名前も知らない奴ら同士がネット上で悲壮感を共有しあい孤独を回避しているらしい。こういったネット・コミュニティに所属する奴らは、アニメや漫画、ゲームなんかのサブルカルチャーを好む傾向が強い。

 

2018年にリリースされた奴らの1stミニ・アルバム『神様、僕は気づいてしまった』に収録されている楽曲のタイトルなんて、ターゲットとしている層の心情を表しているようだろ。

だから僕は不幸に縋っていました

収録曲

1. わたしの命を抉ってみせて

2. 宣戦布告

3. CQCQ

4. 僕の手に触れるな

5. 天罰有れかしと願う

6. 大人になってゆくんだね

7. だから僕は不幸に縋っていました

 

そういったリスナーで地盤を固めつつ、ロック好きの若者からの支持も集めて、支持層を拡大しようってのが奴らの狙いのはずだ。

 

確かに若年層の音楽リスナーは「ロックが酸素」なんて言いつつも、JPOPを台頭するアイドルを支持していたりと、ジャンルに対する余計なこだわりなんて皆無だ。俺らの時代だったらミーハー野郎なんて後ろ指を刺されてもおかしくないスタンスが、今や平気で曲がり通ってしまってるんだぜ。不思議だろ。

 

確かに、ここ数年の大型ロックフェスを見ていると、本来では相見えないようなジャンルのアーティストがラインナップされている。YOUTUBERがロックフェスのステージに立っちまう時代なんだぜ。

 

そういった時代背景を考えると、ネットを優先したプロモーションも、楽曲の構成も、バンドのコンセプトも、バンドでなければならない理由も、メンバーの編成も、全ては「成功」のために綿密に計算されていたってことだろう。

 

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俺だって10年前は「歌い手さん」だ「弾き手さん」なんて、自己満プレイヤーの集まりだなんて馬鹿にしていたが、気がつけば大型ホールをファンで埋め尽くしてるんだぜ?話題のロックバンドでも埋められない大型ホールをだぜ・・・。

 

しかしながら、奴らの持つ独特の香りは、生粋のロックファンからすると少しばかり香りが強すぎる。あと、メンバーの出身が「ネット系」なんて言うと、まだまだオタクっぽいなんてイメージを持った奴らも多い。そんな余計な偏見をなくすために「覆面」で正体を隠してるってところか。

 

確かに「人気の歌い手さんが、遂に待望のロックバンドデビュー!!」なんて見出しじゃ、喜ぶのは既存のリスナーだけだ。

 

これからバンドとしての道を歩む『神様、僕は気づいてしまった』

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俺の予想に反して奴らの狙いは見事に成功しちまった。

 

そして2018年には大型ロック・フェス「サマーソニック」に出演。デビュー1年という僅かな期間で、ロックバンドの憧れであるサマソニのステージに立っちまったんだ。

 

さらには、2019年のサマソニにも出演が決定している所を見ると、世間からは『神僕』ってユニットがバンドとして認識されているってことなんだろうな。

 

気がつけば若年層のロックリースナーが好むバンドの一覧にも、国内を代表するロックバンドと一緒に『神僕』なんて名前が上がることもチラホラ。

 

こんなハリボテの似非ロック・バンド、パッと消えちまうなんて予想してたが、『神様、僕は気づいてしまった』は見事ロック・リスナーの心を掴み2019年には1STフル・アルバム『20XX』がリリースされた。

 

20XXだ?北斗の拳かよ・・・なんて乾いた皮肉しか、もう出やしねぇ。

20XX 初回限定盤

収録曲

1.オーバータイムオーバーラン

2.メルシー

3.Troll Inc.

4.20XX

5.匿名

6.deadlock

7.UNHAPPY CLUB

8.TOKIO LIAR

9.破滅のオレンジ

10.ストレイシープ

11.沈黙

12.ウォッチドッグス

13.Endpoint(Inst)

 楽曲全体の作風は過去作品から一貫したものだ。コンセプトに振れはない。

 

最近のJROCKで言えば“MY FIRST STORY” のような「泣き」の展開の多い濁流のエモーショナルな感じだが、ボーカル“どこのだれか”の声質と独特の言葉選びにより、少年を彷彿とさせる世界観が強調されている。

 

こちらは“04 Limited Sazabys”なんかと同じ、声質と楽曲の親和性の高さってやつか。

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そして今作の注目すべき点は、デビュー当初の楽曲と比較しても、明らかにロック感が増した事だ。

 

2018年にリリースされた『神様、僕は気づいてしまった』に収録されている曲と比較すると、楽器隊が良い意味でシンプル。前作ならば変にテクニカルなフレーズを入れる場面も、衝動的なフレーズで勢いを演出したりと、ダイナミクスの強さが際立っている。ミュージックビデオの内容は理解が難しいが・・・。

 

そんな背景には個人として完成していると思われていた“神僕”のメンバー達の「バンド」への意識の変化があったってことか。

 

-東野さんは、メンバーからの意見を求めたい気持ちが強かったんですか?

東野:そうですね。バンドである以上は、みんなで知恵を寄せ合わせたいんですよね。そういう化学反応的な部分がこのバンドは弱いなと思ったんです。今まではデモでほとんど完成してしまっている決め打ちの曲が多かったし。でも、そこに不確定要素を足したかったんです。それでまとまらないこともあるんですけど、10回に1回ものすごくいい方向にいくこともあるんですね。宝くじを引く、みたいな。

 引用URLhttps://skream.jp/interview/2019/05/kamiboku.php

 

youtu.be

 どうやら、俺はとんだ誤解をしていたらしい。『神様、僕は気づいてしまった』ってバンドは、確かに狙いを定めて作られたプロジェクト・バンドだが、関わっているのは人間だ。長く続ければ、それだけ変化はある。『神僕』のように、これからバンドとしてのドラマを見せてくれる奴らも居るんだな。完敗だ。お前らの『Watch Dogs』俺の心にも響いたぜ・・・。