高校時代は運動部に所属し日々練習に没頭していた若者が、大学入学を機に「もう体育会系の部活はヤダな~」なんてことを考え、「やっぱバンドとかやってたほうがモテるよな~」なんて言って楽器を手にするパターンをよく見かける。
そういった安易な考えのもと、親族から頂戴した貴重な入学祝は桜舞い散るシーズンの楽器屋に運ばれていき、学生達の新生活は店員の口車に乗せられ購入した身分不相応な楽器と共に始まるのだ。
多くの学生たちが自らの手にできた小さな練習タコを誇らしげに眺める5月。
6月にはサークルの先輩にライブに誘われ、初めてライブハウスに足を踏み入れる。特別な空間のステージに立つ先輩を見上げ「僕もいつかはあのステージに立ってライブをしてみたいな・・・」なんて考えたりもした。
入学して直ぐに組んだバンドも3カ月が経ち、徐々にライブ出演を意識し始めた7月。自宅でライブDVDを観ながら一人でヘッドバンキングしてみたり、鏡の前でギターアクションの練習をしてみたりと、ライブ出演に対する気持ちは日に日に高まっていく。
8月には、遂に先輩からライブに出てみないかと誘われた。僕らは二つ返事で出演を承諾し初ライブの日程を決定させたのだ。
「母さん。俺さ、今度ライブすることになったんだ・・・」
「そうそう、大学では軽音サークルに入ったんだよ」
目次
大学デビューには軽音サークルがピッタリ!!
春から高校や大学に通う皆さんの中で「新生活をより満喫したい」と思っている人は、軽音サークルへの入会を考えてみてほしい。
運動系サークルのように毎日活動する必要もなく、地味なイメージの文化系サークルの中では活動内容が華やかで人気も高い。
それゆえ、毎年入会希望者が後を絶たず、大半の学校では大世帯の「人気サークル」として認識されている。
しかしながら、楽器の購入金額が高かったり、技術が上がらないため飽きてしまったりと、なんだかんだ本人のセンスや勤勉さが出てしまうところは、その他のサークルと変わらない部分ではあるが、軽音というスタイルの持つ独自の「緩さ」も存在している。
もし、軽音サークルに入ろうかなと悩んでいる方がいるならば、そういった「緩さ」に潜む実態をしっかりと見極めて入会してほしい。なぜなら、その緩さゆえに軽音サークル自体が魔窟だったり、活動?している会員が魔物だったりする危険性が潜んでいるからだ。
大学デビューを台無しにする軽音サークルの闇
軽音サークルになんて入らなければよかった!!人生を台無しにした!!そんな後悔をしないためにも、軽音サークル選びには注意が必要だ。特に大学には多くの「音楽サークル」が乱立しているので、自分自身にあったサークルをしっかり見極められるかがとても重要なポイントととなる。それでは軽音サークルに潜む「闇」を紹介していこう。
同好会という名の密教
学校によって基準に違いはあれど、学校校側から公式に活動が認可されていない「会」は、サークルや部活ではなく「同好会」と呼ばれることが多い。サークルに昇格できない原因としては、同様の活動をしている「会」が既に存在していたり、所属人員の数や活動内容に問題を抱えているなど様々。
簡単に言えば「非公認な会」なので、学校からの活動資金の援助などは一切ない。そのため、身銭を切ってでも探求したいマニアックな活動や、資金をあまり必要としないスピリチュアル的な活動など、両極端、良く言えば「尖った」会がラインナップされている。
結果、活動実態が容易に確認できない「会」も存在しており、「密教」と称されることもある。そういった「会」に興味本位で所属してしまうと、華々しいスクールライフは遠のいてしまうだろう・・・。
そして、「音楽系」の会にも、当然、上記のような「密教的な会」が多数存在しているので注意が必要だ。もし、大学生活を充実させるために音楽系の活動をしたいのならば、出来る限り大型のサークルに所属することを筆者はオススメする。
メタル同好会という魔窟
高校の軽音部と大学の軽音部の大きな違いは、ジャンルによって細分化された多数の「会」が存在していることではないだろうか?
高校では「軽音部」という名で、様々なジャンルが一括にされ活動しているのだが、大学では「フォーク」「メタル」「流行系」「ジャズ」など、ジャンル特化の会が無数に存在しているのだ。
それらは共通の価値観を持ったものが集っているため「活動の純度が高い」メリットもあるが、1つのジャンルに固執してしまうデメリットを持っている。 そしてそれらは決して混ざり合うことがないのだ・・・。
特に今回紹介する「メタル同好会」はそういったイメージの筆頭といっていいだろう。
まず、「メタル」というジャンル自体が国内では主流のバンドサウンドではなく、「好きな人はトコトン好き」ってな感じの異質なジャンルとなっている。
その原因の1つに上げられるのが、技術を追求し続けた楽曲にあると筆者は思う。わかりやすく言えば、知識がなければ楽曲の凄さは理解できないし、演奏するにも高度なテクニックが要求されるのである。
さらには、主流となっているジャンルとは違い、TVやラジオなどで四六時中流されている訳ではないため、自らが欲し動かなければ手に入れることができないジャンルが「メタル」なのである。
そういった探究心を兼ね備えたジャンルゆえ、偏差値の高い大学に「メタル同好会」が存在していることが多く、卒業後は社会的地位の高い職業に就く会員も多いと言われている。
活動内容は、当然、メタルバンドを組みライブなどで演奏を披露することなのだが、高い演奏技術が必要なため、入会当初は先輩のライブの盛り上げ役として「少人数でのウォール・オブ・デス」や「少人数でのサークル」をおこなうことであり、日々ぶつかり稽古をしている相撲部とあまり大差がないものとなっている。
色々と御託を述べてみたが、簡単に言えばメタルユーザーなんてもんは「先天的な変態」か「勉強熱心な変態」が好むジャンルなのである。そんな「メタル同好会」に迂闊に入ろうもんなら、探求に次ぐ探求により変態の道しか待っていない。さらに女子比率も低く仮に在籍していたとしてもメタルの道を歩む変態だ、「アーチ・エネミーのアリッサ姐さんマジヤバイよね!」なんて女子から言われても困るだろ?それって修羅の道だよ?
もし、大学生活をまっとうに楽しみたいなら「メタル同好会」の門を叩くことを筆者はオススメしない。「音楽サークル」で大学デビューを狙うならば、素直に「主流派(流行バンド)」に入ることをオススメする。
それでは最後に「メタル同好会」を簡単に見極めるチェックポイントを箇条書きにしたので参考にしてほしい。以下の集団からの勧誘にはしっかりと「NO」と言うように。
- ・ロングヘアー 女性の場合は金髪ワンレン
- ・黒色のメタルTシャツを着用している(サイズ感に注意)
- ・バンドTシャツが知らないバンド
- ・カーゴパンツを着用している
ちなみに「ジャズ研」には、それらを超える変態が生息している可能性が高いので注意するように。
音楽サークルに住み着いた魔物達
様々な人間が所属しているサークル。当然、音楽サークルにも多くの人間が所属しているのだが、その独特の「緩さ」のためか多数の魔物(部員)が存在している。簡単ではあるが、そんな魔物達を紹介しよう。
酒呑童子
「サークル飲み」のたびに現れる「鬼」。皆さんもきっと見たことあるでしょ?
主に大人数のサークルに存在しており、本名すらわからない。果たして先輩なのか後輩なのか、ましてや同じ大学の人間なのかも定かではない謎の存在。わかっているのは「お酒」が好きってこと。
手口としては、新入生歓迎会などでひっそりと飲み会に混ざり、LINEグループに加入していることが多い。
普段の活動には一切姿を表さず、飲み会が開かれると、ひょっこり姿を表す謎の存在。
部費の請求がおこなわれると、ひっそりとLINEグループから退会する特徴を持っている。結構イイ奴率が高い。
ピーターパン
「俺らのバンドってなんか不思議じゃない?こうして偶然大学で集まってさ、バンド組んで、一人じゃ見れない景色見て、歌って、たまには喧嘩してさ、でもまた仲直りして、そのたび、強まる絆が音に出てくるじゃん?だから、お前らとだったら変えられると思うんだよね、この世界(音楽業界)」
皆さんの周りにも、たまに居ませんか?中二病の予防接種を受け忘れた人。夢を見るなとは言いません。せめてコピーバンドを卒業して、オリジナルの曲をやってから夢を語ってくださいお願いします。
でも、こーゆー熱い事を言える人って、何だかんだ面倒見も良く素敵な人が多いです。夢を語り出すとちょっと面倒ですが・・・。ちゃんと就職活動はした方がいいですよ?ネバーランドは存在しないので。
帰国子女
入学当時は「KANA-BOON」が大好きだった佐藤君。現在では洋楽にかぶれてしまい、すっかり邦楽のことを見下す様になってしまいました。
よくいる音楽好きではありますが、帰国子女ともなると「日本のバンドのグループ感は弱い」「現在のアメリカでは絶対に流行らない」「オアシスの焼き直し」などと痛烈な批判を繰り出してきます。
実際に何を聴いているかきくと「多分知らないと思うけどリンキンパークとかかな?」などと、世界で数千万枚売れているバンドの名前を教えてくれるのです。
洋楽聴いている=カッコいいと思いこんでしまった典型的な例となり、数年後恥ずかしくて仕方なくなるので気をつけましょう。大学入学後半年ほどで留学(洋楽を聴く)する人も多いので注意してください。
信者
どこのサークルにも居ませんか?「加藤先輩のギターテクニックはマジ神!!」なんてことを言う、先輩をめちゃくちゃ崇拝している後輩。とっても可愛い後輩なんですが、自らが先輩になった時に後輩に示しがつきませんよ?とはいえ、こういった純粋な目で先輩を見れるって大切なことですよね。
しかし、女の子の後輩の中には、先輩に対する信仰心が強すぎるあまり「夜のセッション」を引き受けてしまう人もいます。
知っていますか?昨晩、あなたの奏でたフォルテッシモな喘ぎ声が、先輩同士で情報共有されていることを。バンドマンは総じてクズです。気を付けましょう。