2016年の秋に開催される「ノットフェス・ジャパン」の第4弾出演アーティストが先日発表された。
国内からは、声優の鈴木達央が率いる異色のユニット“OLDCODEX”(オルドコデックス)と日本が誇るヴィジュアルロックの雄“the GazettE”の2組が参戦となる。
そして、海外からは「スラッシュメタル四天王」と称される“Anthrax”(アンスラックス)の出演が決定したのだ!
第4弾に発表されたアーティストに関しては、突っ込みどころが多く体力的にキツイので、今回は「四天王最弱」と言われるアンスラックスについて書かせてもらおう。
目次
スラッシュメタルを代表するバンド“アンスラックス”
1981年にニューヨークにて結成されたアンスラックス。
バンド名は「炭素菌」を意味している。2001年のアメリカ同時多発テロ以降は、バンド名の変更を真剣に悩む時期もあったが、アーティスト仲間やファンからのエールにより変更を取りやめ、現在も“Anthrax”のまま活動を続けている。
音楽性に関しては、1970年代後半にイギリスで勃発した音楽ムーブメント、NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)をアメリカ風に解釈し、独自のエッセンスを加えたものとなっている。
当時のアメリカでは、ブリティッシュ・メタルの殻を破り切れない印象を受けるバンドが多かったが、徐々にハードコアやパンクと混ざり合い、独自に進化した過激なメタルサウンドは、やがてスラッシュ・メタルと呼ばれるようになった。
同ジャンルで成功を収めたメタリカ、メガデス、スレイヤーと共に“スラッシュメタル四天王”や“BIG4”などと呼ばれ、デビューから30年以上経つ現在も全てのバンドが活動を続けている。
その他にも、アンスラックスのメンバーが中心となって結成された“S.O.D”(ストームトゥルーパーズ・オブ・デス)は、メタルやパンクで括る事のできないサウンドのパイオニアであり、クロスオーヴァー・ムーブメント巻き起こすきっかけとなったバンドと言われている。
余談にはなるが、ビースト・フィーストへの出演やS.O.D.との共演などの経歴を持つ、ジャパニーズ・リフマスター・SUZUKI氏がフロントマンをつとめる「PULLINGTEETH」は、過去にNWOJHM(ニュー・ウェーブ・オブ・ジャパニーズ・へヴィ・メタル)というNWOBHMをもじったアルバムをリーリスしている。「日本からの回答」的な、非常に力強い作品となっているので機会があったら是非聞いてもらいたい。
なぜ“アンスラックス”は四天王最弱と言われるのか?
「四天王最弱」という汚名を背負ってしまったアンスラックスだが、セールス・キャリア・影響度のどれを取っても、同ジャンルの中では群を抜いており、レジェンド級の存在であることを忘れないでほしい。
アンスラックスをそういった評価にしてしまった原因は、度重なるメンバーチェンジと他3バンドの存在が大き過ぎたことにある。
メガデスもメンバーチェンジは多かったが、デイヴ・ムステインという軸はしっかりしており、マーティ以外の脱退は音楽性に大きな影響を与えなかったと思われる。
しかし、アンスラックスはボーカルの変更が多く、時代ごとに評価が変化してしまっているのだ。そういった理由で、その他のBIG4にやや差をつけられてしまった印象が強い。
日本で開催されるラウドフェスでは、スレイヤー、メガデス、アンスラックスがたびたび出演しているが、スレイヤーやメガデスがヘッドライナーに対して、アンスラックスはセミ・ヘッドライナーを務めることが多く、国内での人気も溝を開けられている。
今年開催されるノットフェスでは、イン・フレイムスやラム・オブ・ゴッドと同じ枠となり少し寂しい気持ちとなった。
まとめ
四天王最弱と言われているアンスラックスだが、メタリカ、メガデス、スレイヤーの存在があまりに大きく、そういった評価になってしまったことを理解していただきたい。
アンスラックスのキャリアや実力に関しては、超一流と断言できるバンドであり、ノットフェス参加に関しては何の問題もないだろう。
あえて問題点を挙げるならば、ラウドパーク、ノットフェス、オズフェストで出演バンドが全て似てしまっていることだろう。
スレイヤー、アンスラックス、メガデス、イン・フレイムス、アーチ・エネミー辺りは、来日公演を含めると国内で見る頻度が高い印象を受ける。